イギリス南西部で、体長25メートルと推計される魚竜の化石が見つかったそうだ。
地球史上最大の動物は、まさにこの現代に生きるシロナガスクジラとされ、その体長は最大34メートルに達するという。
これに比べれば体長25メートルは見劣りするのだが、それでもクジラ並みの巨大生物だと言っていいだろう。
今の魚類の中で最大のジンベエザメが体長最大20メートルなのだから、少なくともこれは超えている。
ところで私は、昔から「シロナガスクジラが“史上最大”の動物だというのはちょっと怪しい」と思ってきたものである。
「記録とは破られるためにある」というわけではないが――
魚竜の生きた(そして最高度に発展した)ジュラ紀と言えば、陸上では「史上最大の陸生動物(ブロントサウルスタイプの草食恐竜)」が歩き回っていた頃なのだ。
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陸に史上最大の陸生動物がいるなら、海にも史上最大の海生動物がいるのが自然である。
その候補としては、まず間違いなく首長竜か魚竜しかいない。
このどちらかと言えば、より形がクジラに近い魚竜の方だろう……
というのが理論とも言えないあてずっぽうの理論なのだが、しかし私はやっぱり、史上最大の海生動物は魚竜の中にいると思う。
体長35メートルとか40メートルとか、そんな巨体の魚竜がいたと思うし、
たぶんそれは現代のシロナガスクジラのように、海中のプランクトンをヒゲで濾し取って食べていたのだと思う。
なんでもクジラの祖先が水中生活をし始めたのは、今からたった5000万年くらい前からだそうである。
対する魚竜は約2億5000万年前に出現し、9000万年前に絶滅したとされている。(恐竜の絶滅より2500万年早い)
その生存期間は約1億6000万年――
クジラが海に入り始めてから5000万年で「プランクトン食&史上最大級の生物」化したのであれば、むしろ魚竜がそうならなかったということの方が不自然に思える。
ところで魚竜が絶滅したこと、それも恐竜より早く(つまり隕石衝突とかは原因でなかったわけだ)絶滅したことは、私にとっては昔から大きな謎である。
当たり前の話だが、魚竜はほとんどサカナそのものの形をしている。
これ以上海中生活に適応した形態はないはずなのだが――
他の本物のサカナ類とも充分張り合って行けたと思うのだが――
それでもなぜか衰退・絶滅し、なぜか首長竜とか「首の短い首長竜」(クロノサウルスとか)の方が長く生存し続けたのだ。
私にはどう考えても魚竜の方が、「海ワニ」みたいな連中よりはるかにずっと環境に適応的だと思える。
恐竜の絶滅の真因が「隕石衝突」「巨大火山噴火」だとするなら、これは非常にわかりやすい。
しかし魚竜の絶滅の真因は、それよりずっと微妙で興味深いもののような気がする。
それはさておき予言しておくと――
いつの日かおそらく、ジュラ紀の地層から「史上最大の海棲生物」である魚竜化石が発見される日が来るだろう。