「青少年の性行動全国調査」というのがあり、それは1974年から(!)ほぼ6年ごとに行われてきたらしい。
このたび発表された2023年8月~2024年3月の調査結果では、前回と比べて高校生のキス・セックスの経験率が大幅に下がったという。
キスは男子で11.1ポイント減(22.8%)、女子で13.6ポイント減(27.5%)、
セックスは18年前に比べると男女とも約半分に激減。
その一方で、オナニーは過去最高(笑)となったらしい。
(⇒ Yahoo!ニュースオリジナル 2025年2月13日記事:高校生男子のキスは過去最低、性交は18年前の約半分――変化の理由を学生たちが自己分析すると? #性のギモン)
こういう現象はほんの少し前までは「草食化」と必ず呼ばれていたのだが、今はもうNGワードとなったのかほとんど使われることがない。
それはともかく皆さんは、今回のこういう結果を見てどう思われるだろう。
私が思うに多くの人は、それでもまだ高校生男女の「2割超はキスを経験している」「セックス経験者も10%くらいいる」と聞けば――
何たるヤリチン・ヤリマンか、道徳的にけしからぬ、我が子にはそうなってほしくない、などと反射的に感じるのではなかろうか。
おそらくこれが、良識ある日本人男女の普通の感じ方なのである。
上記引用記事では、オナニー以外の高校生の性活動の減少が著しいことについて、色々原因が挙げられている。
しかし私は、別に高校生だけでなく多くの日本人に共通し、また共感もされる最大要因があると思う。
それは一言で言うと、
「人と付き合うことは面倒でありリスクであり、危険でさえある」
という意識が常識として世に普及してきたことである。
そしてこれは、これほどニュース社会化した現代社会では、当然の成り行きだろうと思う。
端的に言って現代人はもう、
「人と恋愛して付き合ってるほどヒマじゃない、そんなムリしたくない、考えただけでわずらわしい」
という段階に立ち至っていると言っても、そう的を外してはいないだろう。
これは嘆かわしいことではあるかもしれないが、しかし賢明慎重な姿勢であるとも言える。
別に未成年たちをヨイショするつもりはないが、日本人はますます個人主義的に・リスク回避的にスマートになりつつあると言ってもいいのではないか。
人と付き合うこと・触れ合うことはもはや人生の喜びではなく、負担であり面倒でありリスクである。
それはむしろ、積極的に避けるべきものとなりつつある。
牽強付会かもしれないが、『孤独のグルメ』などが大ヒットコンテンツになったのも、この社会の雰囲気とかなり関係しているだろう。
そしてこの雰囲気を逆転させるには、今の社会そのものを昔のように退化させるしかないだろう。
むろんそんなことができるわけがなく、だからこそ未婚化も少子化も解決することは(いつか来る底を打つまで)できないはずだ。
私はたぶん、高校生のキス率はいずれ10%を切るくらいまで行くと思う。
セックス率はその半分くらいになるまで行くと思う。
「良識」ある日本人かつ、ますますリスク回避的・面倒回避的になる日本人にとって――いや、きっと日本人に限ったことではないはずだ――それこそが、あるべき社会・望ましい社会ということになるだろう。
高校生が既にセックスしているなんてことは、現代日本人のほとんどにとってはナチュラルに「悪」と感じられることである。
そしてこの意識が変化する――即ち、世の大人たちの大部分が「高校生がセックスしてもいいじゃない」なんて思うようになることもまた、実に考えにくいではないか……