シリアでイスラム過激派の人質となっていたジャーナリストの安田純平(44歳)氏が3年ぶりに解放され、日本政府も本人と確認した。
近日中に、帰国することになると見られる。
この経緯については、次の記事が詳しい。
つまり要約すると、
●日本政府は身代金の支払いには終始一貫応じなかった
●しかし代わりに、イスラム過激派を支援して彼らとパイプを持つカタール及びトルコに水面下で支援を求め、
●たぶんカタールが身代金を出して解放に至った
ということらしい。
さてこの件、喜ばしいことには違いないが――
しかし大多数の日本国民にとっては、これもまた「今週のどうでもいいニュース」の一つではないだろうか。
はっきり言って安田純平氏のことなど、誰も大して気にも留めていなかったのではないか。
たとえ彼が殺害されたとのニュースが入っても、別に日本国民は大騒ぎはしなかったろう。
逆に言えば、今回安田氏が解放されたからと言って、日本政府の大手柄だと褒める気にもならないだろう。
tairanaritoshi-2.hatenablog.com
それにしても、確かに国際情勢や外交などというものは複雑怪奇だということを、日本国民のほとんどはわきまえているとは言え――
安田氏を解放するのに、「イスラム過激派を支援してパイプがある」カタールに借りを作ってしまったことは、
まともな感性を持つ人間なら「それはマズいんじゃないの?」と思うのが自然だ。
あんまりこういうことは言いたくないが、
「この人の命の重さは、カタールに借りを作るほどじゃなかった」
と感じる人の方が、過半数を超えそうである。
はたしてカタールは、どういう形で日本に借りを返すよう求めるのだろうか。
カタールとトルコは、例の「トルコの自国大使館で自国記者を拷問殺害」事件で大揺れのサウジアラビアと対立する関係にある。
このことについて日本に「自分らの肩を持て」と促したり期待したりするのは当然である。
サウジアラビアもたいがいだが、カタールもまた(なんたって過激派を支援しているのだから)全面的に肩は持ちにくい。
日本外交にまた、難しい問題が転がり込んできたというところだろうか。
しかしそれはそれとして安田氏には、あの謎の「私はウマル、韓国人」発言の真意と真相を、帰国後は語ってほしいものである。
(もちろん、本を書くのはわかっているが。)