森友学園に絡む財務省の文書書き換え問題で、国税庁の佐川宣寿・前長官の証人喚問が国会であった。
しかし(当然ながら)たいした話はなく、見るだけ/聞くだけ無駄だったようである。
とはいえそれよりさらに興味深いのが――
NPO法人・情報公開クリアリングハウスが情報公開請求したことに対する、国税庁広報広聴室による回答である。
なんと同室は、国税庁長官の日程表は「1日で(役目が終わるので)廃棄している、だから公開できない」と回答したのだ。
いったいこんな話を、誰が信じるだろう。
どんな信じやすいヌケサクと言えども、こればっかりはそう簡単に信じないに違いない。
ちょうど1年くらい前の記事にも書いたが、何の文書だろうが1日で廃棄してるわけがないのである。
あなたの会社にもきっと「文書管理規定」みたいなものがあって、「この種の文書は3年で廃棄」とかちゃんと決まっているだろう。
しかしそのとおりに3年ごとに廃棄している会社なんて、千に一つもあればいいようなものだ。
(もちろん統計を取ってもいないし取れるわけもないが、そうに違いないとあなたも思うはずである。)
それどころか保存年限を明らかに過ぎているのに、「いや、まだ捨てたらダメだ/捨てなくていいだろう」とわざわざ「命じる」人が、星の数ほどいるくらいのものである。
tairanaritoshi-2.hatenablog.com
私は賭けてもいいが、絶対に国税庁でも財務省でも日程表を一日で捨ててるなんてことはない。
百億歩譲って、よしんば「紙」は捨てているにしても――
パソコンで打ったその「電子原本」(エクセルだかのファイル)を一日ごとに捨てているなんて、まともに働いている人からすればマンガみたいな話である。
あの “200%男” Uインターの安生洋二に出てきてもらうまでもない、国税庁は200%いや2億%ウソをついている。
これはある意味「文書の書き換え」より、はるかに深刻なウソとも言える。
「社長や重役が決裁した文書を、後から書き換える」というのは、割と日本中の会社でよく起こっているはずである。
「あそこが間違えてたのに後から気づいた」「ちょっとマズい表現があった」から書き換える――そのページだけ打ち替えて印刷し、差し替える――なんてこと、それこそあなた自身も何度もやったことがあるのではないか?
その意味で「書き換え」は、まだしも理解の範疇にある。
しかし「日程表を一日で捨てる」なんてのは、もう完全に理解の埒外だ。
私には「書き換え」よりも「こんな明白なウソ回答」の方が、はるかに国民の信頼を損なうものだとはっきり思える。
それにしても財務省といい国税庁といい、日本の中のエリート中のエリートである。
日本における最高ランクの職場であり、人によってはマイクロソフトよりグーグルより上位に見なすかもしれない。
にもかかわらず、そのエリート中のエリートが、こんな明々白々のあからさまなウソをマジメに回答しているのである。
これは国民の怒りを書き立てると言うより、むしろ哀れさをそそると言った方が適当だろう。
いかにエリート集団と言えども、仕事をしていればこんな無惨な回答を世に晒さざるを得なくなる……
人間が尊厳を持って生きようとすれば、やっぱり「働いたら負け」なのだろうか。