プロレスリング・ソーシャリティ【社会・ニュース・歴史編】

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ろくでなし子「女性器裁判」敗訴-わいせつ関連罪廃止論

 漫画家・芸術家の「ろくでなし子」氏(48歳)が、自分の女性器の3Dデータを作品支援者に頒布したとして逮捕された事件で――

 7月16日、最高裁はろくでなし子氏の上告を棄却して罰金40万円の有罪判決を確定させた。

 なお、自分の女性器を芸術作品としてアダルトショップに展示した「わいせつ物陳列罪」については、1審・2審どおり無罪であった。

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 敗訴したろくでなし子氏側は、この判決を「古くさい価値観から抜け出せない、時代錯誤の判決」と批判している。

 しかし私は、時代錯誤というより――

 そもそもこれが刑法に規定するような犯罪なのか、ということからして、常々疑問に思ってきたものである。

 私は「女性の乳房」というのも充分に扇情的なわいせつ物だと思うし、少なくとも公然と街中に陳列するようなものではないと思う。

 だがもちろん、街中の銅像にはそんなのが普通にあるではないか?

 女性器の街中陳列がダメなら女性の乳房もダメだと思うが、なぜかそうはなっていない。

 これは特に、イスラム世界の人などには大いに疑問な(そして西欧流に腐敗したと決めつけられる)ところだろう。


 しかしそれとは別に、なぜ「希望者に女性器(3D)画像を配る」のがダメなのだろうか。

 希望もしてない人に送りつけるのは、もちろん犯罪である。

 だが、希望してきた人に渡すのが犯罪だというのは、なぜなのだろう。

 これがダメなら、存在自体がわいせつ物であるはずのエロ本・エロビデオ・エロ動画を売ることも犯罪のはずだ。

(もっとも、こういうのを全て犯罪にしてしまいたい人は多いだろうが……)


 そして、「なぜこれが犯罪になるのか、逮捕されるのか」と思う「犯罪」は、他にもある。

 その代表が「乱交パーティ」というものである。

 これももちろん、乱交パーティに強制参加させるのが犯罪なのは言うまでもない。

 しかし、集まりたい人だけが集まって乱交するのが、なぜ犯罪なのだろう。

 そんなものを犯罪にしておかないと、人々が「ああ、そういうことはやっていいんだ」と思い、世の良風美俗を壊すことになるからだろうか。

 あなたは、もし乱交パーティが犯罪でなくなったら日本では乱交パーティ参加者が急増し、日本はメチャクチャになってしまうと本気で憂えるだろうか。

 それは、あまりに飛躍した(そして的外れの)感覚だと思わないだろうか。


 私は、今ある「わいせつ関連罪」のほとんどは、廃止すべきだと思う。

 ついでに、あの「モザイク」というのも廃止すべきだと思う。

 そんなのに関わるのは、警察力のムダ遣いだからである。

 他人のパソコン上に強制的に女性器を表示させるのは、犯罪である。迷惑だから取り締まるべきである。

 しかし、見たい人だけがそのページにアクセスして見るのは、何の問題もない。

 それで世の良風美俗が壊されるというのは、実に考えすぎである。

(ヒネくれた考えである、とさえ言える。)


 乱交パーティに無垢な少女を捕らえてきて放り込むのは、許しがたい犯罪である。

 しかし、大の大人でやりたい人だけが自分の意思で参加するのは、何の問題もない。

(ただし、病気の感染という観点からは、やや問題がある。)


 サイバー空間も含め、そんなことを取り締まるのに警察力が割かれているというのは、まさに「国家の費え」ではあるまいか。

 資金と人員の限られた警察には、他にもっと力を入れる領域があるはずである。

 
 そして、もう一つ。

 ハッキリ言って、女性器ごときにそんなたいした――人の心と人生を惑わすような力は、それほどないと私は思う。

 男性器もそうだが女性器もまた、別にそれほどまでの興奮を引き起こすものではなく、むしろ単体ではグロさを感じるだけではあるまいか。

 「若者のセックス離れ・性離れ」が進んでいるとされる現代になっても、なお……

 我々は「性器」というものを、なぜか過大評価しているようだ。