今年の初め、茨城県水戸市で起こった成人式妨害騒動について3本の記事を書いた。
そしてさらに、水戸市のイメージ的な受難は続く。
2月3日に放送されたTBSのバラエティー番組「水曜日のダウンタウン」内のコーナーで、水戸市のイメージを損ねる映像が流されたとして、水戸市は放送倫理・番組向上機構(BPO)に「意見書」を提出したのである。
その映像の内容とは――私はこの番組を見ていないのだが、J-CASTニュース3月2日記事によると、次のようなものであった。
●「水戸なら今でも印籠の効果あるんじゃないか説」を立て、その実証実験をする。
●水戸黄門に扮する高齢者男性が、JR水戸駅周辺のマナーの悪い人に次々注意していく。
●注意に反抗されると、助さん格さん役のスタッフ2人が水戸黄門の印籠を示す。
●3番目、迷惑な場所でタバコを吸っている若者男性4人組が、初めて「何?」と反抗的な態度を示す。
「やんのかコノヤロー、 警察でも何でも呼べコノヤロー!」とタバコをふかしながら怒り出す。
●助さん格さん役2人が若者らの前に立ち、「控えおろう」「この紋所が目に入らぬか!」と印籠を見せる。
●若者らは、「バカにしてんのかコノヤロー!」とさらに凄み、2人に詰め寄って突き飛ばすなどする。
映像にはなかったが、暴力を振るわれているかのような音(効果音?)も聞こえる。
●高齢者が若者らにお詫びしてその場を収め、彼は「危ないとこでした」とつぶやく。
スタジオで笑いが起こる。番組で「ちょっとドキュメントをお見せしてしまいました」と説明がある。
ダウンタウンの松本人志が「2度と止めてね」と発言して終わる。
なお、水戸市はTBSから番組の企画書の提出を受けている。
そこには例の若者4人組は、TBSが手配したエキストラとされていたとのこと。(水戸市民でない者もいたらしい。)
そしてTBS側は、4人組には「駅に来てほしい」と言っただけであり、暴言が演出(ヤラセ)であることは「そのようには、考えておりません」と否定している。
まず思うのは、天下の地上波全国放送テレビ局で、
「水戸なら今でも印籠の効果あるんじゃないか説」を採用し、実験し、それを放送しようというなどという企画が通っていることである。
何かこう、テレビ局のお仕事って、とってもチョロいものだという感想を抱かざるを得ない。
そしてもう一つ思うのは、TBSは見るからにチンピラみたいな若者連にカネを払って仕事を頼んだという事実である。
(もちろん、カネを払ったに決まっているのだ。)
そしてカネを払って「駅に来てほしい」と頼んだだけでなく、当然ながら「そこの迷惑になる場所でタバコを吸ってほしい」とも頼んだはずである。
(そうでなければ「絵」が撮れない。駅に行かせただけで、何もせず立っていられたのではカネを払った意味がない。)
これは犯罪とまでは言わないまでも、わざわざ迷惑行為をするよう頼んだということに他ならないだろう。
そしてやはり、それは「ヤラセ」と言うのではないか?
TBSは、「それは下請けの製作業者・スタッフがやったことで、わが局はあずかり知らぬこと」と言うかもしれない。
しかし、たとえ本当はゴーストライターが書いていようが、本人の名で出版されたのならそれは本人が文責を負うのと同じように――
たとえ「絵」を撮ったのが下請けであっても、それをわざわざ放送したのだからテレビ局が放送責任を持つのは当たり前である。
成人式の件は水戸市民(である新バカ成人)の自業自得だとは言えても、これは確かに水戸市にとってとばっちりとしか言いようがない。
むろん水戸市にもチンピラみたいな若者は実際に存在するだろうが、それは他のどこの街でも一緒である。たまたま今回不運にも、水戸市が舞台になっただけである。
と、そう思っている矢先、「茨城・水戸市 神戸山口組系の組事務所にトラック突っ込む」というニュースが入った。
(これをネットで見たのが「TBSニュース」であるのは、どこか皮肉っぽい。)
それによると、3月5日の午前2時過ぎ、水戸市柳河町にある神戸山口組系の事務所駐車場に止まっていた2トントラックの側面に、白いトラックが側面から突っ込み逃走したそうである。(事務所は無人で、怪我人なし)
警察は、例の山口組分裂に伴う抗争の可能性もあると見て、警戒を強めているとの由。
福岡・北九州・筑豊地域の「筑豊トライアングル」地帯が“暴力団抗争で治安が悪い地域”というイメージは、世間一般にかなり浸透している。
しかしもしかしたら、今後は水戸市に「東の筑豊」とのイメージが付くのだろうか?
過去記事に書いたように、水戸は江戸時代から矯激の士を生み出してきた土地である。
私とは全く関係ない土地のことながら、何だかその行く末が気になるようになってしまった……