プロレスリング・ソーシャリティ【社会・ニュース・歴史編】

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中国軍SNS、高市首相をルッキズム攻撃す-古色蒼然の「情報戦」

 高市首相の「台湾有事(台湾を中国が攻撃)は日本の存立危機事態に当たる」との国会答弁により、日中関係は急転直下で最悪レベルのものとなった。

 そして案の定というか何というか、中国軍(いわゆる人民解放軍)はそのSNS高市首相を揶揄する動画やイラストを次々アップしているという。

(⇒ FNNプライムオンライン 2025年11月21日記事:「誤った発言撤回すべき」溝深まる日中関係…中国SNSには高市首相を揶揄する動画拡散 日本政府関係者「無視するしかない」)

 さて、皆さんもその動画やイラストをご覧になっただろうか。

 私もそんなにヒマじゃない(笑)のでごく一部しか見ていないのだが、見た皆さんはどんな感想をお持ちだろう。

 中国軍と言えば「超限戦」とか「認知戦」とか、アメリカ軍とはまた一味違う世界最先端の軍事理論を形成しつつある、とされている。

 その外交政策の一種として、「戦狼外交」などとカッコいい名も付けられている。

 そしてこのたび、国軍たる中国軍がその公式SNSで満を持して――のはずだ――高市首相と日本国を認知戦でやっつけるべく、動画・イラストを世に放ったわけである。

 その切れ味やいかに、と注目した人は全世界に少なくないだろう。

 ところがどっこい、少なくとも個人的には、何という古色蒼然ぶりかと思わずにいられなかったのである。

 その絵柄といいセンスといい、まるで第二次世界大戦や日清・日露戦争時代のプロパガンダイラスト・風刺漫画そのまんまであり――

 こんなのが2025年の経済大国・軍事大国の正規軍隊公式作品だなんて、とても思えない時代錯誤的なものだったのだ。

 今この時代、中華製ゲーム・中華製アニメが昇竜の如く世を席巻していると言われている。

 もはや日本はゲームやアニメの世界でも中国に負けつつあり、お家芸だったはずのロボット分野でも完全に差を付けられたと言われている。

 しかしそれなのに、国家正規軍の作るアニメ動画やイラストと来たらこれほどの古色蒼然クオリティなのだ。

 いや、もしかしたら日本以外の国では、あの手のアニメやイラストの方がウケるという可能性もあるのだが――

 少なくとも日本人に対しては、ハッキリ言ってその「時代遅れ」ぶりしか印象づけられないだろうと思う。

 もっとハッキリ言えばこれは、日本人に完全にナメられる作品群を作ってしまったということではなかろうか。

 私は別に中国や中国軍の肩を持つわけでも支援したいわけでもないが、しかしこういうものを作る際は、何が何でも民間に協力を求めるべきだと思う。

 もっと高品質なコンテンツを作れる中国人や中国企業はいくらでもあるだろうに、いったいどうしてこれほど低品質のものを国家作品として送り出してしまうのか、正直理解できかねるところがある。

 これが中国が認知戦・超限戦を戦うコンテンツなのだとしたら、カッコいいネーミング倒れもいいところ……

 そして本当は中国ってたいしたことないんじゃないか、と思われる危険性すら十分にある。

 だから個人的には、今回の動画・イラスト類を国軍公式のものとして世に出してしまった関係者の人たちは、懲戒処分ものではないかと思うのである。


 が、この点は(どうせヨソの国のことであるし)スルーしてもまだいいだろう。

 見逃せないのは、またしてもここでもどこでも、例のルッキズムというやつがモロに顔を出していることだ。

 ここに描かれた高市首相の顔と言えば、言葉の真の意味で「絵に描いたような」オニババであり、醜く邪悪な女妖怪の顔以外の何ものでもない。

 世の中の人たちは、とりわけ女性の皆さんは、これをルッキズムと呼ばずして何と呼ぼう。

 この現代、嫌いな相手・攻撃する相手・批難したい相手を「醜く描く」「ブスに描く」というのは、もはや許されないことではなかったか。

 くどいようだが女性の皆さんは、まさにこの点について中国軍を猛烈大批判すべきではあるまいか。

 もし自衛隊がその公式サイトで習近平主席や、例の中国外務省のいつも会見に出てくるあの女性を邪悪なブス・ブオトコに描いたとしたら、みんなそれを許すのだろうか。

 もっともこの点も、現代中国軍のセンスないし品格が、実は世の進運に数十年は遅れているという事実を伝える証拠とも言えるだろうが……