7月26日に開幕したパリオリンピックだが、その開会式は何と4時間にも及んだ。
この開会式の内容がまた、この日本においてさえ前回の東京オリンピックを上回る?ほどの物議を醸している。
●史上初、選手たちが船に乗ってセーヌ川を行く船上入場式。
誰もが斬新さを評価すれども、大国選手が大型船に乗る一方、小国選手はモーターボートみたいな小舟に乗り「格差の可視化」と言われる。
●五輪旗を上下逆に掲揚する。
●韓国を北朝鮮と紹介アナウンスする(爆笑)
●首を切られたマリー・アントワネット(にしか見えない)がその手に自分の首を持ち、その首が歌い出しヘビメタ演奏スタート(爆)
赤いテープで血しぶき飛び散る演出付き。
●あのレオナルド・ダ・ヴィンチの名画「最後の晩餐」の構図を、踊る女装ドラッグクイーン(ドラァグクイーン)らが再現。
カトリック教会、右派政治家、イーロン・マスク氏らから「キリスト教を貶めている」と批判される。
●開会式の経費、約200億円らしい(…)
私はこの開会式、多くの意味で「フランスらしい」と思った。
フランスと言えば「西の中国」と言われる?くらい、強烈な中華意識を持つことで有名だ。
いわゆる小国たちや朝鮮半島なんて遠国に対し、行き届いた配慮がされていない――少なくとも他国からはそう見える――のは、いかにもフランスらしくはないか。
そしてまた、仮にも平和の祭典とも言われるオリンピックの開会式で……
オーストリア選手団もいるというのにマリー・アントワネットの斬首生首を映像に使うというのも、さすがフランス、さすがアバンギャルドという言葉の祖国だと感じさせる。
さらにはキリストの最後の晩餐をパロッたからと言って、何の不思議があるだろう。
なにせフランスは、フランス革命で「神を廃止」して「最高存在」なるものを創造したことのある国なのだ。
なにせフランスは、大統領が「フランスには冒涜する自由がある」と明言するような国なのだ。
これぞフランス革命魂の炸裂と言うべきか、「配慮至上主義」の日本とはどだい感性の根本が違うのである。
(⇒ 2020年9月2日記事:「フランスには冒涜の自由がある」-「自由vs配慮」が人類最終戦争?)
しかしそんなフランスも、とにかくオリンピックを国の一大事と位置付けたい点では日本と大して変わらないようだ。
その開会式に200億円もかけた――レディー・ガガやセリーヌ・ディオンのギャラはかなりの割合なのだろうが――というのだから、フランスのアバンギャルド精神もこの点ではずいぶん大人しく従順なものだ。
私としては、このパリ五輪の最大の注目点、すなわち「大規模テロ」と「テロ防止大作戦」が閉幕までどうなるものか、そっちの方が競技よりずっと気になっているのだが……