4月25日、国立社会保障・人口問題研究所は日本の人口の最新将来推計を発表した。
現在1億2000万人である人口が50年後には8700万人となり、うち65歳以上の高齢者が約4割・外国人が約1割を占めるようになるという。
総人口は、約4分の3になるということである。
そこで皆さんは、どう思ったただろうか。
私は率直に、「まだそんなにいるのか」と感じた。
2073年の日本人口がまだ8700万人もいるということ、人口が4分の3になるのに50年もかかるということが、むしろ意外なのである。
私が思うに――別に私でなくとも思うだろうが――、日本の出生率が上がることは見込めない。
既に日本の生涯未婚率は驚嘆するほど高いのだが、私見ではさらに上がり続ける。
おそらく日本人男女の50%は生涯未婚で子どもを残さない、という風になるのが順当なところだと思っている。
生涯で一度でも結婚するのは50%未満の少数派になる、というのが、皆さんも順当なところだと思われないだろうか。
そしてもう一つ思うのが、「50年後には人口が4分の3になる、これは大変だ」という危機感は、普通の人間にはやはり抱きにくいだろうという点である。
現代のビジネス的な「常識」では、10年後でさえ「長期」である。
いや、「超長期」と言っても過言ではない。
なんたって、5年後・3年後でさえまだ長いと言われる(思われる)のだ。
また「4分の3」というのも、人間心理的になんとも微妙というか「まだ大丈夫」的な数値ではないか。
普通の人はきっと、わが社わが国の50年後を見据えて今からコレコレのことをしなくてはならない、ナニナニをすべきだ、なんてことを言う人が身近に出てきたら、決して共感はしないだろうと思う。
そんな浮世離れしたことを言い出すなんて、先がどうなるかわかりもしないのに、むしろバカじゃなかろうかという反応になると思う。
そんなことを考えるのは、ヒマな意識高い系の貴族じゃないかと思うのが普通である。
一般人がそうであるのだから、政治家だってそうであるのは当たり前だ。
もっとも私は、人口についてそれほど「悲観」してはいない。
人口推計は、50年先までも「今と同じ社会」が続くことを前提に行われる。
しかし今から50年先が今と同じ社会であるなど、ありえないことである。
多分これから50年の間には、人間が自然的セックスだけで生まれるということはなくなっているだろう。
結婚はしたくないが自分の遺伝子は残したい、という需要は疑いなく高いのであるから、今後は
「企業に注文して自分の子どもを作ってもらう、なんなら育児もしてもらう」
というのがいよいよ解禁される可能性はかなり高い。
それは必然的に「片親」が多くなることになるのだが、今だって片親の人はゴマンといることだし、このタイプの片親への偏見はなくなっているだろう。
(昔「アニメ好き」がいかに偏見の眼で見られていたか、今ではそうでなくなっているか、考えてみるとよい。)
また、現在では両親が揃っていなくては認められない「養子を取る」ことも、単身者にも認められるようになるだろう。
それは、両親が揃っていなくては子どもを健全に育てられないという、今では持つことが許されないはずの偏見に基づくものであるからだ。
人口推計は、あらゆる将来予測の中でも最も確実性が高いと言われる。
それは「確定された未来」とさえ呼ばれる。
しかし世の中に、確実なものなどほとんどない。
50年後も今と同じ社会・今と同じ考え方の人間が広がっていることなど全然確実ではないのだから――
正直私は、50年後の答え合わせが楽しみでさえあるのである。