プロレスリング・ソーシャリティ【社会・ニュース・歴史編】

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小学生「さんぽセル」に批判殺到と、反論&クラウドファンディング

 日本の小学生が背負うランドセルの重さというのは、昔から有名である。

 それを2本のスティックによりキャリー化し、体感重量を90%も軽減するという「さんぽセル」という商品を、「悟空のきもち THE LABO」という会社が発売する。

 その原案は、栃木県に住む小学生の双子と姉妹が中心となったものらしい。

 そしてこのニュースに「1000件超の批判コメントが殺到」したことに対抗するため、同社はクラウドファンディングを開始した。

(⇒ ITメディアニュース 2022年5月30日記事:ランドセルを体感で約90%軽くする「さんぽセル」 1000件超の批判に対抗するクラファンを開始)
 
 私はもちろんランドセルを背負わないが、しかし画像や説明を見る限りでは、いいアイディアではないかと思う。

 そして同社(と、原案を出した小学生たち)が批判コメントにいちいち反論し、クラファンもして「対抗」の姿勢を明らかにしているのも、結構なことだと思う。

 それにしてもこの1000件超の批判コメントというのは、少なく見積もっても実数200人くらいは書き込んだ人がいる、ということを示していると思うのだが、よくもまぁそんなに書き込む人がいるものだ。

 その原動力は何かと言うに、「嫉妬」と「生意気だ」という脊髄反射感情以外に、列挙する必要があるだろうか(笑)


 だいたい批判コメントを書き込んだ人は、悟空のきもち社や原案小学生らとは一切何の関わりもないはずである。

 それでも全国で数百人は書き込んだ人がいるのだから、これがその人たちの地域社会や職場であれば、どれほど「批判」感情を持つものか思いやられるというものだ。

 これはよく言われる、日本人の「出る杭を叩きたがる心性」「とりあえず批判する根性」「現状維持本能」をまざまざと見せるものだろう。

 この程度の(と言っては原案者たちに失礼だが)「改良」や「発明」にも批判の声が殺到するのだから――

 それは日本社会でイノベーションブレイクアウト(どころか「改善」さえも)が起きにくいというのも、素直に納得できるというものである。


 そしてもう一つ思うのが、今回のさんぽセルに限らず、その他の世の中の事象について「批判が殺到」するということの意味である。

 一言で言って、批判が殺到するから何だというのだろうか。

 また、そもそも根本的に、1000件超の声というのは本当に「殺到」しているのかしていないのか。

 どんなことであれ、何かやれば批判があるのは昔から当たり前のことである。

 何かやれば、必ずクレームの声がある。

 それをいちいち「貴重なご意見ありがとうございます」「おっしゃるとおりです」と畏まる(フリをする)のが現代日本の公式道徳――つまり、それが「人として正しい」対応とされている――のであるが、これこそが日本が衰退する元凶なのではあるまいか。

 
 おそらく、もしこの「さんぽセル」が失敗する(普及しない)ことがあるとすれば、それは

「こんなのを使って生意気だ、異質だ、と思われたくない」

 という、例の日本人根性によるものだろう。

 そしてまた、「車輪がゴロゴロいう音がうるさい」という近所の年寄り(?)の苦情によるものでもあるだろう。

 そういうクレームが一件でもあれば、たちまち反応すべきなのが今の日本の道徳だからである。