プロレスリング・ソーシャリティ【社会・ニュース・歴史編】

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世界戒厳令と首都封鎖-「オリンピックなんてやってる場合か」

 新型コロナウイルスの猛威はとどまるところを知らず、世界最悪の感染地であるイタリアでは3月22日に死者が5000人を超えた。
 フランスでも外出禁止令が出たりと、特にヨーロッパ諸国はまるで戒厳令状態の有様である。
 それに比べれば日本ははるかにマシのはずだが、しかし3月23日、東京都の小池百合子都知事は、

●この3週間、オーバーシュートが発生するか否かの大変重要な分かれ道である
●都内で大規模な感染拡大が認められた場合は、東京都を封鎖する「ロックダウン」も検討する

 と会見で述べた。
 しかしいつも思うのだが、なぜ一部の政治家の人たちは「オーバーシュート」とか「ロックダウン」などと言う言葉をいちいち使いたがるのだろうか。
 高齢者、いや普通の庶民は「オーバーシュート」が「感染者の爆発的増加」、「ロックダウン」が「封鎖」ということはまずわからないだろう。
 日本語で言えば誰でもわかるとわかりきっているのに、
 しかも日本語で言った方がはるかに字数の節約でもあり言いやすくもあるのに、
 確か数年前、行政業界では「カタカナ語はなるべく使わないようにしよう」と決めたこともあるはずなのに、
 つくづくカタカナ横文字言葉が好きな人は好きなのである。
 
 さて、それはともかく、3月23日にはカナダが「もし予定どおり今年の夏に東京オリンピックを開催するのなら、カナダは選手団を送らない」と通告してきた。
 当たり前の話であり、むしろ日本にとっては「世界中から選手団やスタッフや観光者が来る」なんて事態は、キッパリ願い下げであるはずだ。
 そしておそらく、いやほぼ確実に、東京五輪は延期になるだろう。
 もし当初予定どおり7月下旬に開催するとすれば、それは「史上最低最悪のオリンピック」として歴史に残ることになる。
 「無観客試合」どころか、「無選手試合」に近い種目だって出てくるだろう。

 だいたい、イタリアなんかは「オリンピックどころじゃあるかい」と思うのが当然である。
 フランスもイギリスも、もちろんアメリカも、まともな人間なら「こんな時スポーツの祭典もクソもあるか」と感じるのが当然である。
 そして日本でも、いつも(どうでもいいような話題のときにも)出てくる「不謹慎厨」と呼ばれる人たちは、今こそ立ち上がるべきではあるまいか。
 世界で何万人も死んでいるときに、ほとんど世界中が戒厳令状態であるときに――
 世界的スポーツの祭典なんかやるのは、それこそ世界最大級の不謹慎に他ならないはずだ。

 さて、それにしても……
 今この時点の世界と日本の情勢が、(かの有名な『日本沈没』を書いた)SF作家の小松左京の有名長編作品に酷似しているのはとても感慨深い。
 「ウイルスの蔓延が南極以外の全世界に広まる」というのは、『復活の日』。
 原作小説では「チベット風邪」だったが、映画版では「イタリア風邪」――まさにそのイタリアで、最悪の感染状況が起こっているではないか。
 そして「首都封鎖」は、もちろん『首都消失』。
 はたして今度は、日本が経済的に沈没するという形で『日本沈没が現実化するのだろうか……