プロレスリング・ソーシャリティ【社会・ニュース・歴史編】

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札幌大爆発事件は「スプレー缶120本を噴射&給湯器着火」が原因か-「年末大掃除」廃止論

 12月16日夜、札幌市で起きた大爆発事件は、てっきり大破したという飲食店でのガス事故が原因かと思った。

(たいていの人がこう思ったろう。)

 しかし真の原因は、なんとすぐ隣の不動産営業店で「除菌消臭スプレー120本をカラにしようとして室内で噴射し、給湯器のスイッチを入れた途端に爆発した」というものだったようである。

(⇒ 毎日新聞 2018年12月17日記事:札幌の爆発、不動産店で「消臭スプレー100缶ガス抜き」 現場検証始まる)

(⇒ NHK 2018年12月17日記事:札幌の爆発「除菌消臭スプレー120本まいた」 成分に引火か)

 
 まず誰もが驚くのは、これほどの大爆発の中心点にいた不動産会社従業員が、こんな証言をできていることだ。

 よく死ななかったものだが、そればかりでなくこの事件では(今のところ)一人の死者も出ていない。

 ガス爆発というのには、こういう不思議なところがある。

 ところでこんな事故原因を聞けば、誰もが「なんてバカなんだ」と思うだろう。

 しかしそれはそうかもしれないが、他にも原因(遠因)があると思うのである。

 その遠因とは、日本の慣習である「年末大掃除」というものだ。


 なぜこういう事件が2月でも8月でもなく12月に起きたのか。その理由が年末大掃除というものにある――

 というのは、確かに確証なんてないが、割と当たっているように思う。

 そもそもスプレー缶を120個も一気に廃棄しようなんてことはせず、毎日一本ずつでも噴射して使い切っていけば、何の問題もなかったのだ。

 なのにそうしなかったのは、言うまでもなく、たいていの人間は「毎日コツコツ少しずつやる」ことができないからである。

 「後でまとめて」やればいいし、そうするのが効率的だとさえ本気で思っているからである。

(これが誤りであることは、ほとんどの人間にはわかっている。

 それでもやらないのが悲しい人間の性だ。)


 そしてこういう「毎日少しずつ」精神を抑圧するのに何とも都合のよい慣習が、「年末大掃除」というものなのだ。

 時は12月、溜まりに溜まったスプレー缶を、「もう年末だから」まとめて捨てようと思う。

 だから一気に室内で噴射する。

 むろん外でやればいいのはわかっているが、外は街中で人が大勢いるのだからそんなことできない。それに寒い。

 そのあげくがこの大爆発だ。


 この営業所員らをバカにしたりマヌケ呼ばわりするのは普通の人間のやることだが、しかし似たようなことは――

「年末だから」「年末大掃除だから」普段全くやらないことを一度にやる、というようなことは、それこそそこら中の人間がやっている。

 おそらく年末大掃除が原因で人が死んだとか大怪我をしたとかいう事件は、今までも数限りなくあったのではないか?


 また、さすがに営業所員らは、スプレー充満の室内でライターを付けてはいけないということは考えが及んだはずだが、しかし給湯器を付けてはいけないとまでは思い及ばなかった。

 こういうことも、普通の人間には非常にしばしばあることである。

 たぶん今回の事件は、「年末大掃除」という意識がもたらした(と思う)被害としては、過去最大級だろう。

 そして我々はもう、年末大掃除を代表とする「いつかまとめてやる」から「今はしない/普段はしない」という意識を、根絶すべきである。

 そういう意識や習慣が、はなはだしきは人命を失わせ、そうでなければ日常生活や仕事の上で日々ダメージを蓄積させているからである。