プロレスリング・ソーシャリティ【社会・ニュース・歴史編】

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ZOZO前澤社長の月ロケット爆発待望論-SNSがウソツキ発見器になる日

 今、かつてのホリエモン堀江貴文 氏)の後釜に座っているのは、ファッション通販サイト「ZOZOTOWN」の運営元・スタートトゥデイ社の創業者・前澤友作(42歳)氏である。

 いまやス社の株式時価総額は1兆5000億円にも迫り、その筆頭株主である前澤氏の個人資産は5,500億円を超え、株式配当だけでも34億円に達するという。

 その大金持ち前澤氏が、さらに上をゆく世界的大金持ちイーロン・マスク氏と組んで、2023年に月へ旅行に行くことにしたのは、広く世間に知られている。

 その費用は1人100億円、たぶん8人で行く予定らしいので、総額800億円とのこと。

 まさに大名旅行などという言葉では言い表せないほど豪壮な旅行だ。

www.dailyshincho.jp

 

www.dailyshincho.jp


 ところで私は思うのだが、世の中の大勢の人は、いやほとんど全てかもしれない人は――

 この前澤社長が乗った月ロケットが「墜ちればいいのに」「爆発して死ねば面白いのに」とか思ってるのではないだろうか。

 ほとんど本能的とも言えるくらい反射的に、そういうことを期待するのではないだろうか。

 平たく言って庶民の中には、「前澤社長の月ロケット爆発待望論」があるのではないか。

 もちろんそんな悲劇が本当に起こって本当にそんなツイートをすれば、たちまちボコボコに叩かれるのは誰にでも目に見えている。

(それでも「ざまあwwww」とか「メシがウマい」とかツイートする人は、そういう反応がわかってて書き込んでるのに違いない。)


 さてここで、「心ない」ツイートをボコボコに叩く人たちは、「まとも」で「良心的」な人であるように見える。

 暴言や無配慮な発言に憤りを感じ、その猖獗を許せない――少なくともたしなめずにはいられない、DQNでない人に見える。

 しかし同時に、彼らはほとんど間違いなくウソツキなのではないだろうか。


 あなたには、庶民たるもの前澤社長が月ロケットで爆死することを期待する心が、ハッキリとわかるはずである。

 こう言っては何だが、あなたが「墜ちたらどうするんだろう」と感じたり口にしたりする裏には、必ずやこういう心があると思う。

 もし万一あなたがそうではないとしても、

 ツイッターで「前澤社長の死を喜ぶツイートを叩く」ツイートをしている人の全員がやっぱりそんなことは思ってないとか、

 過半数がそんなことは思ってないとか、

 まさか本気で信じはしないだろう。

 もちろん前澤ロケット爆発を報じるワイドショー型ニュース番組では、誰一人そのことを喜ぶキャスター・タレントはいない。

 しかし彼らの全員が本心から「ざまあ」と少しも思っていないなんて、そんなことを信じる人はお子様にも及ばないだろう。


 SNS特にツイッターは、「バカ発見器」として広く認知されている。

 バカな奴はバカなツイート投稿をして叩かれまくり、それこそがバカのゆえんという意味である。

 しかし前澤社長の月ロケットが爆発しようものなら、今度はツイッターは大規模なウソツキ発見器ということになりそうだ。 

 本当は自分の本心じゃないことを投稿して、本当は自分と同じ本心を表している他人のツイートを叩く人が、大量発生する光景が目に見えるようではないか……

 
 だがこれは、別に普段のSNSでも同じことが言えるかもしれない。

 ツイッターとかヤフーニュースのコメント欄に書かれている短文というのは、

 別に自分の本心じゃないし、本心であっても軽い本心だし、

 悼む心などほとんどないのに悼みますと書いてあったり、

 どうせすぐ忘れると自分でもわかっているのに「許せない」と書いてあったり、

 というものがほとんどかもしれないではないか?


 そう考えると、SNSをもってしても、人の心は容易に世の中にぶちまけられないものである。

 それはつまり、SNSを読んでいても人の本心はわからないということ――

 リアルな人付き合いとそんなに変わったものではない、ということになる。

(付き合いで他人の通夜や葬式に行って悔やみを表す、というのはその顕著な例である。)


 それにしてもこの9月26日には、ビル清掃業の男性が帰宅してみると妻と3人の子が無理心中していたというニュースが報じられた。

news.nifty.com


 仕事を終えて帰宅したら妻と子ども全員が死んでいる、

 しかもその原因と言えば、おそらく妻が「経済的な理由で将来を悲観していた」から……

 これはもう夫にとって、言葉では言い表せないほどのショックである。 

 かたや総資産5,500億円で年間配当金34億円、800億円払って月に行こうかという人がいれば、かたやこんな家庭もある。

 人の世の栄光と悲惨の差は、かくのごとし――

 逆に言えば、共産主義社会主義がまさかの大復活を遂げる可能性は、(今は信じられなくとも)かなり高いと言えそうである。

(これもまた、SNSには現れにくい人間の本心かもしれない。)