プロレスリング・ソーシャリティ【社会・ニュース・歴史編】

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ドイツ潜水艦隊(Uボート)の惨状と「在庫を持たない」方式の危険

 ドイツの潜水艦「Uボート」と言えば、軍事に興味を持たない人でも――

 それこそ“女こどもでも知ってる”単語である。

 第一次でも第二次世界大戦でも活躍し、その名を天下に轟かせる存在である。

 その栄光のドイツ潜水艦隊が今、稼働艦艇ゼロという危機的惨状にあるという。
 

www.sankei.com


 この記事、韓国海軍はどうでもよくて、もっぱら「あの」ドイツ潜水艦隊がこんなことになっているという点に興味が集中するのが人情というものだ。

 およそ「軍事ワールド」という記事をクリックして読む人が、ドイツ海軍より韓国海軍に興味を持っているなんてことはないからである。

 第二次大戦のドイツ軍というのは、この日本においては――

 ともすれば同時期の日本軍と同じくらい人気があるか、それよりも人気があるくらいだろう。

 とはいえ、第二次大戦でなく今現在のドイツ海軍の本を買い込み読み漁り、その動向をリアルタイムでチェックしている人となると、ごくごく稀だと思われる。

 そういうドイツ軍好きにとって、今のドイツ海軍には潜水艦がたった6隻しかないというのはショックだろう。

(ちなみに、イタリア海軍には8隻ある。そして「イタリアでさえ」稼働艦艇ゼロということはない。)

 
 なんでこんなことになったかというと――

「予算削減の煽りを受けて、予備部品(スペアパーツ)の確保ができなくなった」のが原因らしい。


 むろん「在庫を極力持たない」というのは、企業経営における鉄則である。

 トヨタの「カンバン方式」も「ジャストインタイム」生産方式も、このことを目的に構築された(と世間で理解されている)。

 しかし誰でも思うように、在庫がなかったらヤバいことにもなるのである。

 特に軍隊なんて、在庫がなければその兵器は役立たずも同然だ。


 現代戦はそんなに何日も続かないと言えばそのとおりかもしれないが、弾薬や予備部品がなければもう敗戦は確実である。

 特に戦時は弾薬なんてアッという間に撃ち尽くしてしまうものだし、敵の攻撃で一気に失われることもある。

(もちろん部品は損傷し、故障する。)


 そんなことはわかりきっているとしても、それでも予算をどこから削るかとなると、「使われていない」在庫から削られるのは世界のどこでも同じだろう。

 まぁ確かに、潜水艦が全部使えないからと言って「どうせ戦争なんて起こんないんだから」いいじゃない、と考える人も多そうだが……


 それにしても現代ドイツのUボート乗りたち、今は潜水艦に乗れず何してるのだろうか。

 訓練もできないのだから、ひょっとしてこれを機に配置転換でもされるのだろうか。

 こんなことが報道されると、Uボートのみならずドイツという国自体の士気や評判が低下してしまうのだから、やっぱり「在庫切れ」は戦争がなくても避けるべきものなのだが……