プロレスリング・ソーシャリティ【社会・ニュース・歴史編】

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小金井市アイドル襲撃事件 「誰にでも殺りに行ける交流イベント」

 5月21日(土)午後5時頃、東京都小金井市本町の「イベントスペースSOLID」(シャトー小金井地下1階)で――

 「SOLID GIRLS NIGHT vol.11」(午後7時開始)という複数アイドル出演のファン交流ライブに参加予定だったアイドルの富田真由さん(20歳)が、

 岩崎友宏(27歳)に首・胸・背中・両腕など20カ所以上を刃物で刺され、意識不明の重体に陥る事件が発生した。

 自分で包丁を握ったつもりで20回突き刺し、あるいは振り下ろす動作をしてみればわかるが、20回以上というのは相当に多い回数である。

 こんなに刺されて生きていることは非常に難しいだろう。


 この岩崎友宏という男、今年1月から富田さんのツイッターで粘着コメントを繰り返していたようで、腕時計を渡したり(郵送したり?)もしていたらしい。

(しかしどうも、4月下旬に差出人不明で郵便局から送り返されてきたようだ。)

 富田さんは「ファンから執拗にツイッターやブログに書き込みされている」と相談しており――

 この日のライブについては、武蔵野警察署が小金井警察署に110番通報があった場合に対応するよう依頼していたとのことである。


 さて、思い出すのは2014年5月25日(日)、岩手県滝沢市岩手産業文化センター「アピオ」でのAKB48の握手会において、

 AKBメンバーの川栄李奈入山杏奈の二人が、無職・梅田悟(当時24歳)に刃渡り20cmの折りたたみ式ノコギリで切りつけられ負傷した事件である。

 梅田の犯行動機は、「自分は無職なのにAKBの連中は金を稼いで楽しい日々を送っている」「AKBのメンバーなら誰でもよかった」というもの。

 しかし今回の岩崎友宏は誰でもよかったというわけではなく、富田さんに絞った襲撃という点が違う。


 なお、富田さんは読売新聞では「タレントの大学生」と呼ばれているが、いわゆる地下アイドルなのだろう。

(以前は「シークレットガールズ」というユニットのメンバーだった。)


 AKB襲撃事件の後は握手会が中止になったり警備が強化されたりしたが、しかし地下アイドル・ローカルアイドルにとっては交流イベントを止めるわけにはいかない。

 強盗が入る怖れがあるからと言って、店を開かないわけにはいかないのだ。

 そして警察だって、いちいち地下アイドルのイベントに人員を派遣したりしていたら、人員がいくらいたって足りないだろう。

 以前もブログで書いたことがあるが、犯罪を犯すのはまことにたやすい。殺人さえもやると決めれば簡単にできる。

 放火は言うまでもなく、通り魔殺人もまた「誰にでもできる犯罪」である。

 ある人間を殺そうと固く決意すれば、いつか必ず殺すことができるのである。(四六時中警戒・警備しているなんて、どだい無理な話である。)


 ファンとの距離が近い交流イベントを行う限り、必ず間歇的にこういう事件は起きる。

 そしてメジャーならざるアイドルは、いやメジャーアイドルであっても、何らかのイベントに出ないわけにはいかない。

 そしてこれは、一般人であっても引きこもりでない限り同じである。

 AKBが襲われても握手会の類(たぐい)がなくなりはしないように、

 秋葉原で無差別殺傷事件があっても人々が秋葉原に行くのを止めないように、

 人はこういう事件をすぐに忘れる。憶えていても「ああ、そんなこともあった」という風に思う。

 そしてもちろん、自分の身に起こらない限りは基本的には「他人事」なのである。

 また確かに、こういうことは滅多に起きることではない。

 間違いなく今回の事件も速やかに忘れられ、交流イベントは今後も続けられていくことだろう。

(荷物チェックが慣習として根付くにしても、会場入り・会場出するところを狙われればなすすべがない。ガードマンを雇う余裕などあるわけがない。)

 
 当然、岩崎友宏・梅田悟のごとき異常者もまた絶えることはない。

 こういう連中から個人と社会を防御するには、犯罪を犯していない段階での「予防攻撃」が必須と思われる。

 つまり「怪しい奴・危なそうな奴はしょっぴけ」というものである。

 しかしこれも、人民の容れるところとならないのは言うまでもない。

 結局のところ、今回のような事件が起きるのは――

 「やむを得ないこと」「たまに生じる小さな犠牲」として、我々の社会は受け入れているのが実態ではないだろうか。