プロレスリング・ソーシャリティ【社会・ニュース・歴史編】

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なぜ女は自分より「上」の男でないとダメなのか-男女平等と年収1億円婚活CA

 間欠的にネットに出てくる題材であるが、また最近、「コロナ婚活に励むCA(キャビンアテンダント)」を採り上げた記事が(やや)注目を集めた。

diamond.jp


 このCAは30歳で年収600万円だが――

 「身長と歯並び」は絶対に譲れず、

 年齢は30歳から45歳まで、

 外国籍でもOK、

 職業・学歴の指定はないが、

 年収は2000万円以上に絞り、自分の年収600万円以下は考慮外、

 だそうである。

 言うまでもないが、こんなことをネット上で公然と言えば、たちまち叩かれるに決まっている。

 そしてこの記事自体が、まさにそういう炎上効果を見越してアップされている、というのも大いに可能性のあることではある。


 が、ここで書きたいのは、別に叩きの言葉ではない。

 世の中には「公然の秘密」ならぬ「公然の不思議」というものがあるが――

 この記事が表象するのもまた、世の中の公然の不思議の一つだと思うのだ。

 その不思議とは、

 「なぜ女性は、女性を低く見る風潮には必ずや不快感を覚えるに決まっているのに、

  どうしてこうも『自分より「上」の男』でないとダメだ、尊敬できないから、

  などと公然と言うのだろうか」

 という不思議である。

 
 自分より身長が低い男は嫌だ。

 自分より年収の低い男は嫌だ。

 自分より学歴の低い男は嫌だ。

 なぜなら尊敬できないから、あるいは見栄えが悪いから……

 どうもこういう感覚は、一握りの特定の女性の感覚というわけでもないようである。

 自分より身長・年収・学歴の低い男は結婚相手として考えられない、という女性の声は、けっこうネットでよく見かけるのである。

 そしてどうやら、これが(ネット上だけというわけではなく)女性の普遍的な願いのようでもあるようなのだ。

 
 さて、これはいったいどういうことだろう。

 当然ながら彼女たちも「男女平等」を不変の事実であり守るべき真実だと思っているはずなのだが、

 しかし、こと自分の恋愛・結婚相手となると、女である自分より「上」の男でないとダメなのはどうしたわけか。

 もしこういう感覚を「女性の本心だから、尊重すべきだ」というのなら、

 それは「男は女より上であるべきだ」という観念を尊重すべきだ、ということになる。

 あるいは、「女性たちは口では男女平等と言っているが、本心では男の方が上であることを望んでいる」ということにもなる。

 そうでない解釈をするのは、明らかに無理筋ではなかろうか。

 また、彼女たちが「女の方が男より上」のカップルを内心どんな目で見るかということも、ハッキリ明らかではなかろうか。

 
 はたして男が「大学も出てないような女は対象外」と言ったらどうなるだろうか。

 きっと叩かれるだろう。

 男が「パートタイマーの女は対象外」と言ったらどうなるだろう。

 やっぱり叩かれるだろう。

 しかしそれなのに、

 女が「自分より学歴の低い男は対象外、雇用不安定で低収入の男は対象外」

 とか言うのは、なんだか普通に許されていまいか。

 本当に、なぜなのだろう。

 不思議ではないか。

 それはまあ、日本の男女不平等がいつまで経っても解消されない、というのは当たり前ではなかろうか。

 なんたって当の女性たち自身が、「自分より上の男じゃなきゃ尊敬できない」なんて本心から思っているのだとしたら……

 日本の男女不平等を解消したいなら、何をおいてもまっさきに叩き潰すべきは、まさに女性の心にある「自分より上の男じゃなきゃダメ」という女心である。

 誰がどう考えてもそうなる、と言いきるのは、はたして言い過ぎであろうか。