プロレスリング・ソーシャリティ【社会・ニュース・歴史編】

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埼玉県と神戸市がTikTok利用ストップ-中国人民は「中国共産党は中国の邪魔」と考える?

 私は自分が使っていないもので、大阪府・埼玉県・広島県・神戸市が、住民への情報発信や行政業務利用のため動画投稿アプリ「TikTok」(の製造元「北京字節跳動科技(バイトダンス)」と連携協定を結んでいることを知らなかった。

 しかし8月4日、そのうち埼玉県と神戸市が7月には既にTikTok使用を止めていたことが、産経新聞のスクープで明らかになった。

 トランプ政権が米国内でのTikTok使用禁止に動く中――

 「住民の間から、対中安全保障への懸念や情報流出の懸念」が高まってきたことに配慮したから、という。

(⇒ 産経ニュース 2020年8月4日記事:<独自>TikTok利用、埼玉県と神戸市がストップ 対中国安保への不安に配慮 大阪府、広島県も慎重に対応)


 このニュース、なんだか「また声の大きいクレーマーに行政が簡単に屈したのか」と取られないでもない。

 アメリカ企業のマイクロソフトが作るウィンドウズやエクセルやワード、

 同じくアメリカ企業のアップルが作るiPadなどが、

 これだけみんなに使われているのに、

 「こんなことしてたらアメリカに全部情報を奪われる」

 なんてこと言う人は誰もいないのに、である。

 
 しかしもちろんこんな違いが生じるのは、およそ規模の大きい中国企業というのは、すべからく中国共産党の息がかかっていると「みんな知ってる」からである。

 それは、日本における民間企業への役人の天下りどころではなく――

 どうせ中国企業中国共産党と「つるんでる」んだろ、「支配下・統制下にある」んだろ、というのが国際常識みたいなものだからである。


 そして、だからこそトランプ大統領TikTok禁止方針は、中国共産党にとって一大事である。

(トランプがこんなこと言ってなかったら、まず間違いなく埼玉県も神戸市も使用停止になんて至らなかったはずだ。)


 なぜならこれは、中国製品・中国経済のダメージになってしまう、で済む話ではない。

 本当の問題は、中国国内・中国企業自体の中で、

共産党の連中がいるから、オレらの製品がこんな目に遭うんだ。

 邪魔な共産党なんかなくしちまえ」

 という声が高まることである。


 なるほど中国共産党員は、中国の大企業に深く食い込んでいるかもしれない。

 だからといって、中国企業中国共産党支持で一枚岩になってるなどと思うのは、人の心を知らないものである。

 むろんどんな組織にも対立があり、反感があり、溝があり、不平不満があり、

共産党の連中さえいなきゃ、

 わが社が共産党と強制的につるまされてなきゃ、

 オレらの製品はアップルやマイクロソフトみたいに全世界で問題なく売れるのに」

 と思っている社員が、非常にたくさんいるに決まっているのである。

 そしておそらく、中国の分裂すなわち中国共産党王朝の滅亡は、本当にこういう感情によってもたらされるのではなかろうか。

 その意味でトランプは既に、中国共産党王朝との心理戦争に舵を切っている、と言うべきである。

(ちなみに私は、中国共産党王朝は早ければ2030年代、おそらくは2040年代に滅亡すると思っている。

 歴代の中国統一王朝の寿命から見て、そう思うのだ。)

tairanaritoshi-2.hatenablog.com



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 「中国共産党は、中国の・わが社の商売の邪魔」――

 こんな感情が中国内に広まることは、中国共産党にとって悪夢である。

 そんな風に思われたくなければ、今現在の「国家まるごと天下り」体制を止めなくてはならないし……

 どうせ中国共産党の中の人には進んでそんなことできないし、

 この自分たちにとって大切な「国体」を、何が何でも守りたくてたまらないはずだ。

 

 しかしもちろん、永遠の国体護持は幻想である。

 国体を護持しようとすればするほど、

「オマエら商売の邪魔」 

「オマエらのせいでオレらのモノが売れない、信用されない」

 という人民の敵意は高まるものである。

 今の中国政府が何が何でもトランプ政権を倒したいと思っていても、全く当然と言うべきだろう。
   
 人民共和国が人民に離反されて倒されるという前例は、20世紀中にたくさんあったからである。