こういう記事こそ、ニーズに応える記事というのだろう。
ニュース記事で毎回毎回見る、あの「訴状が届いていないのでコメントできない」の謎について書かれた記事である。
(⇒ オトナンサー 2020年6月7日記事:被告の「訴状が届いていないのでコメントできない」、本当に届いてない? 沈黙の意味は?)
もっとも、訴えられた側が、訴状が届いていようがいまいが「コメントできない」としかコメントしないのは、当たり前と言えば当たり前の話である。
訴状が確実に届いた後でも、「裁判中なのでコメントは控える」と答えるのも、順当な話ではある。
もちろん裁判は公開されているので、知りたければ傍聴すればよい。
かつてのプロレス団体ではないが、「取材拒否」の権利は誰にだってあるのである。
しかし日本のニュース記事には、もう一つのド定番コメントがある。
我々が「訴状が届いていないのでコメントできない」に並んでよく見るのが、
「担当者が不在なのでコメントできない」
というものであるのは、誰しも思うところである。
そして多くの人は、この「コメント」を見るたびに不思議に思っているのではないだろうか。
なるほど、「担当者でないと(詳しくは)わからない」ことというのは、職場の中でゴマンとあることである。
しかし――
●担当者は一人しかいないのか。
二人か三人いて、その全員がどこかへ(長期に)行っているのか。
●その担当者の管理職は、何も知らないのか。
●今日は担当者不在かもしれないが、明日はいるのではないか。
●取材するメディアの方も、「ではいつお帰りでしょうか?」と訊かないのか。
翌日に取材すればいいのではないか。
そういう記事を読んだ覚えがないのは、気のせいなのか。
皆さんは、いや誰しも――
「担当者が不在だからコメントできない」
で済んじゃうの?
だったらウチの会社で不祥事が起こっても、そう言えばいいんじゃないかなぁ?
と、思ったことがあるはずである。
そしてまた、「担当者がいない」とウソをつけばそれでいいじゃん、とも思ったことがあるはずである。
おそらく、今まで「担当者が不在だからコメントできない」とコメントを出してきた何百社の中には――
本当にそう思って「担当者不在」とウソをついた会社が、いくつもあると思われる。
そして、どうもメディア的には、本当にそれで取材は終わったかのような印象があるのである。
だから、皆さんももし自分の会社で不祥事があり、自分が広報担当みたいな地位にあるのだとしたら……
ぜひこの、「担当者が不在なのでコメントできない」とコメントしてほしいのである。
それで本当に取材が終わりなのかどうか、確認してみてほしいのである。
そして会社が、その担当者に「自宅待機」を命じて「担当者不在」がウソでないように工作していないかどうか、確認してほしいのである……