プロレスリング・ソーシャリティ【社会・ニュース・歴史編】

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コロナ危機と「これだけ言っても出歩く」心理-日本には衝撃映像が足りない

 東京都をはじめ、市民への「外出自粛要請」が出されてもなお「不要不急」の外出を続ける人が多いのは、テレビなどでご存じのとおり。

 花見とか、観光とか旅行とか、気晴らしの買い物とか、友達と飲みに・遊びに行ったりである。

 こういう人たちを「危機感なしのバカ」と片付けるのは簡単だが、しかし気持ちはわからないではない。

 「要請」は要請であって「強制」ではないのだから、別に応じなくてもよい。

 ましてや政治家や役所からの要請であれば、つい反発心が湧いてしまう――ケッ、政府なんかの言うことなんて――のは、現代日本人としてごく普通の感覚と言ってよい。

 それとはまた別に、そして根源的に――

 人間、「外を出歩きたい」という欲望は抑えがたいものがあるのだろう。

 一方で「誰にも会わずに家に閉じこもっていたい」という願望も人間にはあるが、

 しかし「外出したい、用がなくても」という気持ちを抑制するのは、なかなか難しい人の方が多いのである。

 かく言う私もほぼ家に閉じこもってはいるが、やっぱり天気が良いと外に出たくてウズウズすることも確かにあるのだ。

 だがもちろん、今はとにかく極力外に出るべきではない。

 ましてや人が密集しているとわかっているところにわざわざ出かけていくなど、愚の骨頂としか言いようがない。

 
 では、政府や役所が外出を控えるよう呼びかけても、従う気がほぼ全くない人を家に閉じこもらせるにはどうしたらよいか。

 むろん、正式な緊急事態令・外出禁止令(戒厳令とも言う)を出せば、さすがに多くの日本人は観光旅行くらいは止めるだろう。 

 しかしそれよりもっと効果がありそうなのは、テレビやネットで「衝撃映像」を流すことではあるまいか。

 それは、感染が大流行しているヨーロッパの、臨時死体置き場や暴動中の街頭の様子を流すことである。

 あるいはまた、海外で死亡した(やや著名な)日本人の名前と顔写真を逐一報じることである。

(もちろん、現に闘病中の志村けんが死亡でもすれば、さらにインパクトは大きくなる。)


 今の日本に足りないのは、「衝撃映像」である。

 「今日は何人感染が見つかりました」といくら報じても、(まだその数は総人口に対して相対的に少ないので)人は危機を実感しないものだ。

 別に日本人に限った話ではないのだろうが、衝撃映像こそ人の心によく響く。

 テレビなどメディアが「倫理的な・無難な」キレイな映像を映し続ける限り、外出を自粛しようなんて気にならない人の方が、ずっと多いのがデフォルトと思った方がよい。