プロレスリング・ソーシャリティ【社会・ニュース・歴史編】

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日韓GSOMIA破棄、ギリギリで回避-日本人がもはや北朝鮮を脅威と思っていない件

 11月22日の夕方、韓国大統領府は、例の日韓「GSOMIA(軍事情報包括保護協定)破棄」を当面取りやめることを決定し、日本政府に通告した。

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 GSOMIAは11月23日の午前0時(つまり23日になった瞬間)に協定期限の満了を迎えていたので、まさにギリギリのタイミングであった。

 これでひとまずは、日韓の連携による北朝鮮ミサイル監視体制はこれまでどおり続くこととなった。

 しかしこのニュースを聞いた日本人のほとんどの反応は、「なーんだ」「ちぇっ、なんだよ」というものではなかったろうか。

 これはたぶん、「ネット世論どおりに世の中は進まない」の格好の例ということになるだろう。


 今の日本では、嫌韓がスタンダードな国民感情である。

 きっと過半数の日本人は「GSOMIAがなくなった世界」、「日韓の防衛協力体制が少しでも失われた世界」が見たかったはずだ。

 それは戦後以来というもの、誰も見たことのない世界のはずであった。

 いわば、「日韓新時代の到来」である。


 しかしこの日韓離反待望論とでも言うべき感情の背景には、「北朝鮮は、もはや日本人には脅威と感じられていない」ということがあるに違いないと思われる。

 早い話が北朝鮮は、もう日本人にとって「旬の話題」ではないのである。

 あの、戦後日本人が歴史的なほど燃え上がった「北朝鮮の日本人拉致問題」も、今はもうトンと盛り上がらない状態になってしまった。

 そんなこと今はほとんど誰も語ろうとはしないし、語っても盛り上がってはくれないのだ。

 こんなことになってしまった責任は、近年の北朝鮮のいわば「やるやる詐欺」的行動にある、と言っていいだろう。

 北朝鮮は盛んに“飛翔体”の発射をするが、ただそれだけで別に戦争を起こしはしない。

 だからもう、北朝鮮が飛翔体を発射しましたというニュースは――

 日本では、「南シナ海海上に低気圧の雲が増えています」などという話よりもっと興味を引かない話になってしまった。

 そんな有様なので、北朝鮮を脅威だとも感じないし、そもそも関心もなくなってしまうというのは、全く無理もないことだ。

 「それでも」北朝鮮対策のためには韓国との連携が必要だなんて、思うことの方が難しかろう。

 
 だがやはり世の中は、中でも特に外交は、ネット世論国民感情で動かすことは難しい。
 
 あえて言えばそんなものより、もっと重要なものがこの日本にはある。

 それはもちろん、アメリカの意向である。

 別に「米帝陰謀論」を唱えるわけではないが、アメリカにとってみれば、北朝鮮を監視するのに日韓が協力しないでは困るのである。

 確かに日本と韓国が反目するのは、一面ではアメリカにとって都合がいい。

 ともにアメリカの同盟国とはいえ、アジア地域の2つの経済大国が(韓国も一応経済大国だと思う)グルにならないで対立しておいてくれるのは、アメリカにとって「やや安心」なところがある。

 しかしアメリカの対北朝鮮・対中国の戦略としては、やはりこの2国が同盟国として鎖なり防壁なり橋頭堡であってくれなくては困るのだ。

 そして今のところアメリカにとって、後者の利益が前者の安心感よりずっと大きいということなのだろう。

 だからもし北朝鮮と中国の脅威が消えれば、(まだロシアがあるが……)アメリカは日本と韓国の反目をむしろ歓迎・黙認するはずである。

 そのときこそ日本のネット世論国民感情が望むように、日韓は晴れて断交みたいな状態になれるだろう。