安倍晋三総理大臣が主催する「桜を見る会」が、公費を私物化しているとか、安倍晋三後援会の所属者比率が異常に多いのではないか、などと叩かれている。
無知ながら、私はこんな会があることを知らなかったのだが(しかし、いかにもありそうな会だとは思う)――
何とその招待客数は、今年は18000人にも及んだという。
まるで小さな自治体の全人口だが、反射的な感想は「そんなのにそんなに出席するほどヒマな人が多いのか」というものである……
しかしここでは、それが問題ないことなのか悪いことなのかは、措くとしよう。
採り上げたいのは、このことに関する11月12日衆議院での内閣府官房長の答弁である。
彼は招待客の基準について問われ――
「招待者の名簿は「保存期間1年未満の文書」と位置づけており、会の終了後、速やかに廃棄している。
事実上、調べることはできない。
各省庁の推薦する側としての情報の保管状況については確認させていただきたい。」
と答えたのである。
そして、じゃあ各省庁に対し招待者を選ぶ基準などを調査するのかという問いには、「現時点では、そうした考えはない」と答えたのである。
やれやれ、またこの答えかよ、と思った人は非常にたくさんいるのではないか。
なぜ「また」かと言えば、今ら2年9ヶ月前の(例の)森友学園問題の時にも、これに酷似した答えを官庁側はしたからである。
つまり、国有地の売買に関する記録は「保存期間1年未満の文書」なので、「売買契約をした後にすぐ廃棄した」などと述べたのである。
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2年9ヶ月前に書いたことを、また書くようになるが――
いったいあなたは、「契約が終わったら」「会が済んだら」その記録や名簿をすぐ全て廃棄したなどということを、真面目に信じられるだろうか。
私は必ずしも反安倍政権というわけではないが、もしこんな答弁を「廃棄したと言うんだから廃棄したんだろう」などと信じる人がいるとすれば、それはホンマモンの狂信者だと思う。
絶対に、間違いなく、それらをすぐ捨てているなんてあるわけないのである。
いや、もしかしたら、「紙の記録や名簿を捨てた」というのは真実かもしれない。
しかしそうだとしても捨てたのは、こういうことが問題になった後であることは確実だ。
そしてもちろん、パソコンに打ち込んだデータは残してないわけないのである。
どうせこんなことで強制捜査などされはしないとわかっているから、今も残してあるはずなのだ。
(念を入れて、パソコンから抜いてUSBにでも移してあるのかもしれないが……)
それにしても、哀れなものではないか……
内閣府の官房長ともあろうものが、全国民のほぼ全員に「またウソ言ってる」と一秒で看破されるようなウソを、国会の場で真面目に言わなくてはならないなんて。
結局のところ、日本の中央政府の官僚なんて、しょせんこの程度のものなのである。
本人の能力や資質がどうとか言うのではなくて、こんなウソを言わなきゃならない身分なのである。
普通の人間ならこんなこと、子供に合わせる顔がないと恥ずかし落ち込んで、家に帰りたくないのではなかろうか。
そしてつくづく思うのだが――
こんなことが続くなら、これから国の役所と何か折衝する際には、そのたびにいちいち「今日の会議記録は、当社と御庁が業務契約したらすぐ廃棄してしまうのですか?」などと確認する必要があるだろう。
国が主催する会議やセミナーの議事録も出席者名簿も、その会議やセミナーが済んだらすぐ廃棄されるのかどうか、聞いてみたら面白いかもしれない。
もちろん、捨てているわけないのである。
1年はおろか、真の所定の保存年限を過ぎていても、捨てずに取ってあるのが当たり前なのである。
どうやらこの調子では、「桜を見る会」は「ウソツキの集う会」と言われてしまっても仕方ないようだ……