プロレスリング・ソーシャリティ【社会・ニュース・歴史編】

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「学校の女帝」教師の後輩イジメと人事異動の是非-人は簡単に「封建土人小王国」を作る

 神戸市立東須磨小学校で発覚した、「教師による教師へのイジメ」事件は、大きな反響を呼んでいる。

 その加害教師らが撮影したという「激辛カレーを強制的に食べさせる」動画をニュースで見たが――

 それはとても30代の男性教師3人・40代の女性教師1人とは思えない、サルみたいな小中学生の動画を見ているようであった。

 なんでもこの40代の女性教師というのが「主犯」で、勤務年数がとても長いため校長すらも敵わない人物だったようである。

 この女性教師がいわゆる「女帝」であって、他の30代男性教師3人というのが(どこの世界にも腐るほどいる)チョウチン持ちの金魚のフン的人物だというのは、容易に推測できるだろう。

 
 ここで私は、「こいつらこれでも教師なのか」と憤るとか、イジメの詳細について立ち入ろうとは思わない。

 このブログで何度も書いてきたことだが、しょせん人間は「誰でも一般人」である。

 学校の教師とだろうが医者だろうがスポーツ選手だろうが、みんなただの一般人――ただ特技のある一般人、ただその職に就いている一般人であるに過ぎない。

 学校だろうとどこだろうと、サルや金魚のフンみたいな一般人はどこでも生息しているのだ。

(ちょっとサルには申し訳ない言い方だが……)


 ここで述べようと思うのは、この40代女性教員が校長をも気後れさせる勢力を持つに至った原因である。

 もちろん原因と言えば、彼女の性格にある、と言ってしまえばそれまでだが……

 しかし環境的な面で言えば、たぶん「勤務年数が長い」と報道されていることからして――

 東須磨小学校という職場にずっと長くいた、すなわち彼女については人事異動が行われなかった、ということにあるのだろう。

 
 さて、この「人事異動」というもの、あらゆる組織にとって永遠のテーマであり難題である。

 今の時代、人事異動、特に数年間隔のローテーション的な頻繁な人事異動は、かなりビジネス系ネット界での評判が悪い。

 それは何でも一通り経験している「ゼネラリスト」を養成するため、日本企業の多くが実施してきたことなのだが――

 まさにそれが社員を「スペシャリスト」にすることを妨げ、日本企業の生産性を下げ、世界に太刀打ちできなくしている元凶の一つと見なされているのである。

 きっとあなたもそういう記事を、一つや二つどころでなく目にしたことがあるだろう。

 そしておそらく、共感するところがあったのではないか。 


 だが、「頻繁な人事異動で職場をコロコロ変える」ことには、明らかに大きなメリットがある。

 今回の事件でわかるように、同じ職場に居座っていれば、必ずやある種の人が簡単に「封建土人小王国」を作るのである。

 必ずや「小暴君」になる者がいるのである。

(これを通常の企業では、概して「お局様」などと言う。)

 むろん小さい分だけ、その暴君ぶりは濃密なものとなる。


 頻繁な人事異動は、人がスペシャリストになることを妨げるかもしれないが、しかし確かに小暴君だの小女帝だのの出現を防ぐ効果はある。

 そしてもしかしたら、日本企業が今まで「頻繁な人事異動」をやってきて、この時代の今もなおやり続けようとする本当の理由は――

 実はゼネラリストを作ろうとするなんてのは二の次で、この手の小暴君の出現を防止することにあるのではなかろうか。

 そしてもしかしたら、その方針は正しいのではあるまいか。
 

 スペシャリストとゼネラリストの対決は、優劣は、いったいどちらが良いのかは――

 人が集団で仕事をする限り、おそらく永遠に決着の付かない問題である。

 しかし、スペシャリストを作ろうとすれば、どうしてもその人間を同じ職場・職務に長く留めておく必要がある。

 するといずれはカビのように小暴君やその取り巻き連が現れてくる、というのは、スペシャリスト志向にとって極めて重大な欠点だろう。

 そして小暴君やその金魚のフンというのは、もちろんその居心地の良い小王国・封建土人国から離れたくなく、なんとか抵抗しようとするものだ。

 おそらく今回の「学校の女帝」40代女性教員も、その性格にものを言わせて異動に抵抗したか、そんな雰囲気を漂わせていたものと思う。

 頻繁な人事異動が是か非か、そうするべきかすべきでないのか――

 これは日本社会の抱える課題の中でも、特に際だって重要ではないだろうか。