燃料税の引き上げをキッカケとしたフランス全土での暴動が、まだ収まらないようだ。
フランスの象徴とも言われる「パリの凱旋門」のマリアンヌ像も、一部が破壊されたとのこと。
さすがフランス、革命の母国、近代革命発祥の地。
やっぱりフランスはこうでなくてはな――
と、なぜか自分が鼻息を荒くする人もいるかもしれない。
それはともかくこの暴動、確かに燃料税(日本で言う揮発油税とかガソリン税?)の値上げだけが理由であるはずはない。
やっぱりこれは、人民の不平不満が溜まりに溜まっていたのだろう。
その性質はたぶん、アメリカでトランプ大統領を誕生させたような、「反エリート・反セレブ」の感情であるように思える。
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フランスのマクロン大統領は40歳の若きエリート、まさに民衆の、とりわけ世の“負け組”の反感を買うにはうってつけの存在である。
きっといい加減フランス人も、こういうエリートの勝ち組への反感が抑えきれなくなってきたのだろう。
いくらEUが巨大経済圏で、グローバルな新世界を航海していける唯一の希望の船だからって――
そこに自分の席がなければ、誰にとっても何の意味もないのである。
最底辺の船室をあてがわれるくらいなら、上の船室に押しかけたくなるのは人の常である。
そして隣国ドイツでも、メルケル首相の率いる与党が劣勢に転じていると聞く。
なんだかこの先、トランプを生んだ力はヨーロッパをも席巻し(いや、もとから欧州にもそんな雰囲気は広まっていたはずだが)――
小泉チルドレンならぬトランプチルドレンが各国で政権を取り、
あげくの果てにはイギリスに続き、他の各国すらEUを離脱することだってあり得ないことではない。
特にフランスとドイツのどちらか一国でも離脱すれば、それだけでEUは崩壊したも同然だ。
(少なくとも、世界中の人がそういう印象を持つ。)
しかしたとえそうなったとしても、確かにEUの試みには意義があった。
なんであれ失敗した実験もまた、非常に有意義なものである。
「そういうことはできない」とわかるだけでも、人類にとって大きな進歩である。
これは単なる、個人的な印象に過ぎないが――
ヨーロッパって、やっぱり「分裂」している方が、ずっと自然な姿なのではないだろうか?