プロレスリング・ソーシャリティ【社会・ニュース・歴史編】

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「90人殺害自供」で「アメリカ史上最悪の殺人鬼」?-哀れなる「ホラ吹き殺人鬼」ヘンリー・リー・ルーカスの300人殺害自供

 アメリカで収監されている、サミュエル・リトル(78歳、元ボクサー)なる男が、自分は90人を殺害したと自供して「アメリカ史上最悪の連続殺人鬼」かもしれないと騒がれているそうだ。

www.afpbb.com


 ここで犯罪本を読んできた人がたちどころに思うのは、

「あれれ、ヘンリー・リー・ルーカスはどうなったんだ?」

 ということではないだろうか。

 
 ルーカスは自称「300人殺害」の大量殺人鬼であり、なのに自分自身の殺人事件の特別捜査班の一員として、獄中からチームに助言していた。

 このことからすぐピンと来るように、あの『羊たちの沈黙』で知られるハンニバル・レクター博士のモデルである。

(2001年に心臓発作で死んだ。享年64歳。)


 これは誰でも簡単に推測できることだが、彼は自分が「殺人タイトルホルダー」であることに(と思ってもらうことに)誇りやプライドを持っていたのだろう。

 しかしその誇りも虚しく、今のアメリカのメディア界では「ホラ拭き殺人鬼」みたいな扱いをされていることが、今回報道の「米史上最悪の連続殺人か」という見出しでよくわかる。

 ルーカスは奮闘虚しく、「ワルぶり武勇伝競争」に負けたのである。

 そして世の犯罪ファンの中でも、彼の評価は特に高いものではないと思われる。

(何だか、やってることが大味な印象があるのだ。)


 善人や善行ではなく、殺人や犯罪といった悪の方により一層の興味と魅力を感じるのは、人間の常である。

 特に大量殺人鬼は人気があり、そういう人間が主役を張ったり「魅力的なキャラ」であったりする創作作品は、枚挙に暇がない。

ハンニバル・レクターは、その代表的な人気者だろう。)


 しかし思うに、やっぱり殺人鬼よりは、企業家やその他一般人の伝記・自伝の方が相対的に「面白い」気がする。

 なんだか殺人鬼って、一言で言ってワンパターンな印象があるのである。

 ムリヤリどぎついことをして、却って人をシラけさせる傾向があるのである。

 それはやはりたぶん、犯罪者は基本的に「頭が悪い」からだろう。

 頭が良ければ、別に犯罪という大リスクを犯さなくたって、自分の欲望を満足させる道を(比較的容易に)見つけるだろうからである。