10月11日、キリスト教東方正教会の中心であるコンスタンティノープル総主教庁は、ウクライナ正教会のロシア正教会からの独立を承認する発表をした。
ロシア正教会はもちろんのことだが、「同じ東方正教会だから」とウクライナへの関与を正当化してきたロシア国家もまた、この決定に激しく反発しているとのこと。
それに加え総主教庁は、独立を主張したからと言ってロシア正教会に破門されていたキエフの総主教も、宗教法上の主教と認めた。
ロシア国家はロシア正教会と一緒になって、親欧米政権であるウクライナへの攻撃を続けていたため、もちろんウクライナ国家は今回の決定に勢いづいているという。
東方正教会の情勢に通じていたり、そもそも日頃から関心のあった日本人なんて、私も含めてそうはいないはずだが……
いやぁ、世界は今、こんなことになってたんである。
だいたい私は、「コンスタンティノープル」という名前がまだこんなところで生き残っていたことを、不覚にも知らなかった。
(もちろん今のトルコの首都、イスタンブールのこと。
1453年にオスマン・トルコに陥落させられ東ローマ(ビザンチン)帝国が滅亡するまで、この名前だった。)
しかしたぶん、多くの人には――
特に世界史を真面目に学んでいる学生の頭には、「大シスマ」という歴史用語がたちどころに浮かんだはずである。
大シスマとは要するに「教会大分裂」のことだが、そのフレーズの短さと「初めて聞いたときは何のことだかワケが分からない」ことが逆作用して、非常に憶えやすい用語になっているからだ。
ひょっとして今回のニュース、珍しくも「未来の歴史に書かれる出来事」なのかもしれない。
私は全く門外漢なので、こういうまとめは間違っているかもしれないのだが、要するに――
①ロシア正教会という「北教会」
(コンスタンティノープル総主教庁から離脱)
と、
②コンスタンティノープル総主教庁&ウクライナ正教会&キエフ主教という「南教会」
の二つに分裂した(する)ということなのだろうか。
そうだとすれば、これはやっぱり間違いなく未来の世界史の教科書に書かれる出来事だと思う。
というかこれ、ヘタすれば第三次世界大戦の発火点になってもいいような話である。
それにしても思うのは、やっぱり日本人の全然知らないところでも、歴史というのは動いていくものなのだなぁ……という感想だ。