7月4日、文部科学省の科学技術・学術政策局長の佐野太(58歳)氏が、東京地検特捜部に逮捕された。
東京医科大学を同省の私立大学支援事業の対象に選定する見返りに、今年2月の入試で自分の子どもを合格させてもらった(点数に下駄を履かせてもらった)との容疑である。
これに加え、「会社役員」の谷口浩司(47歳)氏もそれを幇助した疑いで逮捕。
この谷口氏という人、こんな裏口入学スキームには全然不要な人だと思うのだが、それでも関与があったらしい。
このニュースを聞いてまず思ったのは、きっと「東京医科歯科大学」に抗議の電話やメールを入れる人がいるだろう、ということだ。
先の日本大学殺人タックル事件でも、「日本体育大学」に抗議した人が多かったのは記憶に新しい。
なぜかはわからないが、「東京医科大学」と「東京医科歯科大学」では、知名度において後者の方がはるかに上である(と思う)。
これはおそらく、「イカシカ」という言葉があまりにも語呂が良く、耳と記憶に残りやすいからなのだろう。
私も思わず、「東京医科歯科大学」は当然知ってるが「東京医科大学」なんて大学があったのか、と思ったものである。
さて、裏口入学・裏口就職なんてのは、日本中に腐るほどある話である。
そうやって大学や職場に入って普通に卒業・定年退職した人が、たぶん日本には何百人・何千人といるのだろう。
(いや、ちょっと見積もりが少なすぎるだろうか。)
tairanaritoshi-2.hatenablog.com
しかしさすが、文科省の局長級キャリア官僚ともなるとスケールが雄大だ。
20万円とか50万円を払ったというのではなく、学校そのものに便宜を図ってやるというのだから……
とはいえこれ、私だったら絶対やらない。たとえ一片の良心もないとしても、それでもやらない。
なぜならこんなことすれば、相手方にキンタマを握られることになるからである。
何かあったら相手方が裏切って秘密をバラす――
そんなストレスを抱えながらこれから生きていくなんて、バカバカしいことではないか。
さらにその上、谷口氏なる怪しげな第三者が介在しているとあっては、もう何をか言わんや……
よしんば東京医科大学の関係者は裏切らないにせよ、谷口氏にキンタマを握られるのはもう確実ではないか。
(一体この人がどういう風に関与したのか、詳しく聞いてみたいものである。)
もちろん佐野局長も、まともな精神であればこんなことはわかっていよう。
しかしよく知られているように、子を思う親の気持ちは、親の精神を歪み狂わせてしまうのだ。
「子を思う 気持ちが親を バカにする」――
という川柳があるのかないのか知らないが、「バカを出せと言ったら親を出した」に類する警句は、昔から伝えられてきたものである。
ま、エリート官僚(の中でもトップクラス)とはいえ、しょせんは「頭のいい一般人」である。
一般人なのだから、子どもを裏口入学させようなんて、心が歪んだり魔が差したりするのもきっとよくあることなのだろう。
だからこれ本当は、庶民の怒りを買うと言うよりは実は共感を呼ぶべき話とも言える。
しかし私は、もちろん共感しない。
子どもと言ってもしょせんは「血を分けた他人」であり、他人は他人で勝手に人生を切り拓くものだと(ごく普通に)思うからである。