5月22日、例の「殺人タックル」を実行して対戦相手の関西学院大学選手を負傷させた、日本大学の宮川泰介選手(20歳)が謝罪会見を行った。
一読して誰もが感じるのは、この内田正人監督率いる日本大学アメリカンフットボール部というのが、まるでマフィアの世界だということだろう。
この証言が本当に正確なら(正確だと思うが)、監督のみならずコーチもまたヤクザそのものとしか言いようがない。
こんなにあからさまに「相手チームの選手を潰せ」とプレッシャーという名の命令を下すのは、ほとんど戦慄的とさえ言える。
いや、私もこれが、麻薬の縄張り争いだというなら話はわかるのだ。
それはまあ、命令どおり敵対組織の構成員を傷つけて泣く組員がいれば、
「おまえは心が優しすぎるところがダメなんだ」
とか上級組員に叱られるだろう。
それはいかにも、マフィア映画・任侠映画でよくありそうなシーンである。
しかし今回の話というのは、たかがスポーツ、たかが部活、たかが学生アメフトの話なのである。
本当にもう、つくづく思うのだが――
たかがそんなもんに、何をそこまで必死こいてんすかアンタらは。
と言いたくなろうものである。
いいかげん我々は、スポーツ(少なくとも学生スポーツ、学生部活)というものを、これほどまでに高く評価することを(そういう世間に同調することを)本気で止めるべきではないか。
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たぶん誰かが地上波テレビで、1999年1月4日新日本プロレス東京ドーム会場での小川直也ばりに――
「スポーツファンの皆さん、部活関係者の皆さん、目を覚ましてくださーい!!!」
と叫ぶべきなのだろう。
(しかしたぶん、そんな度胸のある人はいない……)
それにしても内田監督や井上コーチといった人たちがヒドいのは言うまでもなく、
代表を外されたくないから殺人タックルを志願して敢行した宮川選手もやっぱりヒドいのかもしれないが……
中でも際だってヒドいのは、
宮川選手が退場処分になって泣いていたところ、
それを見た上級生リーダーが(宮川選手に相手選手を負傷退場させる役をさせたことを済まなく思って)
「自分にもやらせてほしい」とコーチに申し出ていた、というくだりである。
翻訳するまでもないのだがあえて翻訳すると、
「自分にも相手選手を傷つけさせてほしい」
ということである。
何かもう、ここまで来ると、狂気のカルト集団である。
要するに、「義の心をもって他人を傷つけることを志願した」ということなのだが、
陰惨というか救いがないというか、人の心は(別に本物の戦場じゃなくたって)たかがアメフトの試合なんかでここまで行ってしまうのだから、暗澹たる気持ちというよりギャグでも聞いている気持ちにもなりかねない。
私も一応は体育会系の出身なので、体育会系の部活が「脳筋」だとかは言いたくはない。
しかしこんな人たちが近い将来会社に入って仕事をするなんてことになれば、それはもう陰惨たるブラック企業が輩出するのは当たり前の話だろう。
こんなのは誰にでもわかる話のはずだが、それでも世の中の多くの人たちは「上下関係が大事」「上からの命令には絶対従うべき」だとかいう、
マフィア社会や封建土人国ばりの「道徳」を正しい・好ましいなんて思っているのだから、日本の将来は間違いなく暗い。
しかもそれを、企業どころか部活ごときに持ち込むにおいてをやである。
別に学生の部活なんて、もっと楽しんでやればいいではないか。
そんなに必死こいて勝とうとするなんて、アタマがおかしいのではないか。
力の入れどころが全然違うのではないか。
そもそも大学生って、勉強するために大学に行くのではないか。
部活にそんなに人生賭けたいのなら、その人たちは大学なんか行かずにアマチュア団体を作ってそれに集中すればどうなのか。
もしも日本が滅ぶなら、それはきっとこの手の人たちのせいである。
逆に言うと、こういう人たちを一掃することができたなら、日本は素晴らしい国に生まれ変わるだろう。