4月25日、東京高裁は「8歳女児が祭り会場で景品の駄菓子を触って係員に怒られたのでPTSDになった」控訴審において――
深谷市に20万円の損害賠償を命じた地裁の一審判決を覆し、女児側の請求を棄却した。
なおこの件については、一審判決が出たときに本ブログでも記事を書いている。
tairanaritoshi-2.hatenablog.com
おそらく今回の報道を読んだ人は、ほぼ全員が間違いなく「良心的・常識的な判決」だと思っただろう。
一審判決も190万円の請求を20万円しか認めなかったので原告勝訴とは言いがたいものだったのだが、今回は完全否定である。
これで世の中の正義は守られた、良かった良かった、と感じるのが世の大勢だろうと思われる。
そしてもう一つ、「やっぱり地裁はヘンな判決・トンデモ判決を出すことが多い」というのも、もはや多くの国民に浸透している「新・常識」なのだろう。
いや、全国の地裁で出される何万件もの判決がほとんどヘンだなんてことはないのだが、もうそういうイメージが染みついてしまっているのだ。
これは割と、地味に司法の危機とも言える。
最高裁も高裁もまだまだ権威を維持しているが、しかし第一審の地裁は信用されていない――
となるのは、(高裁への控訴が増えるという点だけでも)裁判所にも当事者にとっても負担である。
「裁判官」と聞けば「おお」と思われるのに、「地裁の裁判官」と聞けば軽んじられる……
これはどうも、「民法学者」と聞けば「おお」と思われるのに、「憲法学者」と聞けばバカにされる、
というのと似通っている。
(こういう雰囲気とあなた自身の感覚、あるのではありませんか?)