アメリカのトランプ大統領は、先日のフロリダ州高校での銃乱射事件の遺族らをホワイトハウスに招いて面会し――
「教師を銃で武装させて銃乱射犯を阻止するという提案を、強力に支持する」と発言した。
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普通の日本人からすれば、「何でそうなっちゃうの?」と感じることは請け合いの発言である。
この提案、銃規制に大反対する例の圧力団体・全米ライフル協会が以前から主張していたことらしい。
ほとんどの人にとっては、またしてもトランプの右派への迎合ぶりとバカさ加減を見た気がするだろう。
「トランプはバカ」とする長いエピソードの羅列に、また1ページが加わった格好である。
(そして2月20日、アメリカの政治学者らからの評価で、トランプは歴代最低のアメリカ大統領になったと発表された。)
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もちろんというか当然というか、私も別にトランプを支持しているわけではない。
特に問題だと思うのは、イヴァンカという自分の娘を外務大臣か筆頭大使みたいに扱っている点である。
私はなんであれ、こういう血縁主義には反対する。気色の悪いことだと思う。
こういうのが民主主義の総本山であるアメリカで横行しているのは、人類にとって害としか言いようがない。
しかし今回のトランプの発言、ただバカだとかアメリカの病理だとか言って片付けるわけにもいかない。
トランプの言う「銃乱射犯なんてのは(根が)臆病者ばかりだから、銃のない所を狙ってやってくる」というのは、真実の少なくとも一面は確実に突いていると思うからである。
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そして、全米ライフル協会の主張さえも――「国民にはおのおの武装する権利がある」という考え方についても、ただのビョーキと決めつけるわけにいかないからである。
特に「国民が武装することを禁止されたら、政府に抵抗できなくなる。横暴な政府を倒せなくなる」という思想は、全くもって正しい理屈と言わざるを得ないのではないか。
実のところ日本国民こそ、こういう思想を煎じてガブ飲みした方がいいくらいではないだろうか。
アメリカが今の日本のような厳しい銃規制をしろ、というのは、要するに刀狩りをしろということである。
人民から武器を取り上げろということである。
では、昔の日本で豊臣秀吉が刀狩りをしたのは、いいことだったのか。
秀吉の刀狩りについて現在一般に言われているのは――
「秀吉は農民から武器を取り上げ、兵農分離を行い、軍事力を武士が独占して封建支配を徹底しようとした」というものである。
それが江戸時代に引き継がれ、(「鎖国」と相まって)二百年の泰平をもたらした……
しかし同時に、欧米のような市民の自由は抑圧された/育たなかった、というものである。
そしてどちらかと言えば今では、秀吉というのは“農民出身のくせに農民には冷酷な封建支配者”、
刀狩りというのは“農民から武器を取り上げて農民を完全支配する手段”、
というイメージで捉える人が多いと思う。
そう説明されれば、「なるほどそうだ」と納得する日本人が多いと思う。
しかし今のアメリカが刀狩りをやらないことには(国民自身に反対する人が多いことには)、ほとんどの日本人が「これはビョーキだ、トランプもアメリカ人もバカだ」と感じるわけである。
これはちょっとした倒錯ではなかろうか。
思うに今のアメリカでは、銃規制するより教師を銃武装させる方がはるかに現実的なのだろう。
私としては、この件についてはトランプの言うように教師を銃武装させてみればよいと思う。
そうしたら本当に銃犯罪が減少するか、実験してみればよいと思う。
こう言っては何だが、よその国でそんな実験をしてくれるなら結果を見てみたいものだ。
しかし、それはそれとして……
国民武装権・人民武装権というのは有るべきなのか無いべきなのか、
有った方がいいのか無い方がいいのか、
これは過去の話では全然なく、むしろもう少し未来になれば、この日本でさえけっこう盛り上がる話題になるはずである。
だって、今でさえ、「労働組合なんて作るのはケシカラン。会社に刃向かうなんて没義道(もぎどう)だ」なんて言う(他ならぬ)労働者が、日本にはゴロゴロいるのだから……