プロレスリング・ソーシャリティ【社会・ニュース・歴史編】

社会、ニュース、歴史、その他について日々思うことを書いていきます。【プロレス・格闘技編】はリンクからどうぞ。

カトリーヌ・ドヌーブら「男は女を口説く権利ある」-女を口説くのはもう止めよ。と言うか日本人はもう止めている

 有名女優カトリーヌ・ドヌーブ(74歳)らフランス女性100名が『ル・モンド』誌に寄稿し――

 かの「#MeToo」(セクハラなどの性暴力を告発)運動が、行きすぎた魔女狩りに堕したとする論陣を張った。

www.jiji.com

 

www.huffingtonpost.jp


 ドヌーブらは、社会的制裁を受けた男性は

「膝を触ったり、唇を奪ったり、仕事がらみの食事の場で性的関係を求めたり、好意を持っていない女性に性的なニュアンスのメッセージを送ったりといったこと」

 しかしてないのに、過度な処罰を受けていると主張。

 そして「男が女を口説く自由は認められるべきだ」とも言っているらしい。

 「#MeToo」運動と言えば、先日は日本でも「広告クリエイター・岸勇希 vs ブロガー・はぁちゅう」のバトルがあったばかりである。

tairanaritoshi-2.hatenablog.com

 

tairanaritoshi-2.hatenablog.com


 そしてついにと言うべきか、「女性側から」#MeToo運動への反撃というか反動が始まったわけだ。

 それにしても「男が女を口説く自由は認められるべきだ」という反論の仕方は、さすがフランス人ならではである。

 日本人からは、とてもこんな反論は出てこない(出せない)だろう――

 と言ってしまっては、フランス人に対する偏見ということになってしまうだろうか。


 しかしこの反論、日本人にとっては“我が意を得たり”と心底からの共感を呼ぶことは、なかなか難しく思われる。

 なぜなら日本人男性の圧倒的大多数は――

 「女を口説く」なんてこと、もう考えられもしないからである。

 まして「膝を触ったり」「唇を奪ったり」に至っては、思いつきさえしないからである。

 日本人男性の中でそんなことをする人間は、もはや異常者か狂人だと思われているのである。


 いったい「まともな」日本人男性は、そんなことをする人間がいるなんてこと自体、信じられないと思っている。

 そんなことは(映画の中なんかの)外国人だけがするものと思っている。

 外国映画などでは「見ず知らずの男女が出逢ってすぐ仲良くなって恋に落ちる」パターンが多いが、あれは日本人男性にとってフィクション以外の何ものでもない。

 現実世界で、この現実の日本社会で、そんなことあるわけないし実際にもない。

 ほとんどの日本人男性にとって「口説く」とか「告白する」とか言うのは、とてもそんなことを実行に移すなんて考えられないことなのだ。

 たとえ同じ職場で働く女性を好きになったとしても、彼女に告白するなんてのは空想的なことである。

(そしてほとんどの場合、確かに空想に終わっているはずだ。)


 断られたらどうしようとか、断られたその後が怖いとか思うのは――

 だから告白しないというのは、決して度胸のなさや杞憂のしすぎというわけではない。

 むしろそう危惧する方がまっとうな神経なのであって、本当に告白してしまうなんてほとんどバカタレの領域である。


 一方で女性の方は「実は告白されたり口説かれたりするのを心待ちにしている」のか、と言えばそんなことはなく――

 まず間違いなく、迷惑な異常事態と思うに決まっているだろう。

(場合によっては、恐怖体験ですらあるはずだ……)

 これは「ただしイケメンは例外」などといった話でもなく、相手が誰だろうと基本は「迷惑」で「起きて欲しくないこと」なのではないか?


 そう、これが現代日本の標準的な男女の心象風景である。

 「口説く」のも「ナンパする」のも、それに好意的に応じることも、いずれも異常者のやることだと思われている。

 まともな人間は、そんなことやりもしないし受け入れもしない――

 これが普通の、大多数の日本人というものである。
 


 もちろんこれが「普通」だとすれば、非婚化や少子化が進行するのは当たり前のことである。

 今の日本人の生涯未婚率(50歳までに一度も結婚しない人の割合)は、「男性が4人に1人、女性が7人に1人」。

 また18歳から34歳までの「異性とセックスしたことのない独身者」の割合は、「男性42%、女性44.2%」。

irorio.jp

 

www.huffingtonpost.jp


 これは世界的に驚くべき・信じられない数値とされているのだが……

 私が思うに、この数値でもまだまだ低い。

 まともな日本人(男性)なら、女を口説くとかナンパするとかいうのは考えられもしない――

 という“世の中の常識”をモノサシにするなら、これらの数値は男女とも(少なくとも)50%を超えるべきである。

 そしておそらく、実際にそうなっていくだろう。


 まともな人間は女を口説くことなど思いもよらず、口説かれてキモがらないということもなく、生涯結婚せずに子孫を残さず死んでいく。

 ただまともでない異常な変わり者だけが――ただ少数派だけが――、人を口説いて口説き落とされ、(従来型の結婚をして)子孫を残すことになる。

 たぶんこれが、日本の近未来なのだ。

 結局のところ岸勇希みたいな人は、“肉食系の勝ち組”というよりは“変わり者”と見た方が当たっているだろう。


 だからまともな日本人女性は、「意に染まぬ相手に口説かれる」とか、「膝の上に手を置かれる」なんてことを心配する必要はない。

 まともな日本人女性は今まで口説かれたことなどないはずだし、これから先も一生口説かれることはないと見てよい。

 そんなことしてくる異常者に出くわすのは、滅多にないことだからである。