10月12日、アメリカはユネスコ(国連教育科学文化機関)を脱退すると発表した。(脱退発効は2018年末)
次いでイスラエルも、その日のうちにユネスコを脱退すると発表した。
もっともアメリカがユネスコから脱退したのはこれが初めてではなく、1984年(レーガン大統領時代)にも一度脱退したことがある。
(そして1985年にはイギリスとシンガポールも一時脱退した。)
その時の原因としては、“ユネスコの放漫財政体質”が大きかったようだ。
これから見れば、また何年か何十年かすればアメリカもイスラエルもユネスコに戻ってくるのかもしれない。
ユネスコと言えば、あの“世界遺産”を選定・登録している機関であり世界的知名度も大きい。
(ただし、ユニセフと混同されることも多いと思うが……)
しかし“イイコトしてる組織”だからって、その運営が清廉になされているとは限らないというのは――
IOC(国際オリンピック委員会)やFIFA(国際サッカー連盟)のニュースに接するまでもないだろう。
この件でまたトランプ大統領は、「孤立や悪評を恐れない男」であるという評判を高めることになったかもしれない。
だがそれにつけても思うのは――
やっぱりアメリカは誰が大統領になっても、共和党政権になろうと民主党政権になろうと、雨が降っても槍が降っても何が何でもイスラエルを支持し続けるのだということである。
アメリカ(国民)のイスラエル支持はイスラエル建国以来ほとんどブレずに一貫していて、それはまるでイスラエルにキ●タマを握られてるんじゃないかと感じるほどだ。
(尾籠な言い方だが、キ●タマどころか竿を握られシゴかれているんじゃないかとさえ思われる。)
私はアメリカ人出ないので知るよしもないのだが、アメリカ政治におけるユダヤ人の影響力というのはそんなにも強いのだろうか。
アメリカにとって世界で最も大切な同盟国は、日本でも韓国でもNATOでもなくイスラエルである。
たとえ全世界を敵に回しても、イスラエルだけは絶対支持する覚悟のようなものがあると感じられる。
何がどう変わるかわからない国際関係とは言え、おそらくこの関係――
22世紀になってもまだ変わらないような気もする。
もしこの両国が手切れすることがあるとすれば、それはまさに世界史上の“第二次外交革命”と呼ぶにふさわしい。
“第一次外交革命”が起こったのは1756年。
今まで200年も対立・抗争していたハプスブルク家(オーストリア)とブルボン家(フランス)が一転して手を組み、イギリス&プロイセン(ドイツ)と対決することになった。(そしてフリードリヒ大王で有名な七年戦争に突入する。)
だが、アメリカとイスラエルが手切れするようなことがもしあれば、それは第一次外交革命をも上回る激震である。
そんなことが起きるとは到底思われないにしても――だからこそ本当に起こったら“革命”なのだが――、この鋼鉄同盟が果たしていつまで続くのか、はるか後世から振り返ってみれば興味津々というところだろう。
さてユネスコだが、もし近過去にイスラム国やタリバンをボロクソ非難していれば、アメリカも脱退を思いとどまってくれたかもしれない。
タリバンはバーミアン遺跡の大仏を爆破破壊し、イスラム国はパルミラ遺跡をはじめ古代遺跡をメチャクチャにした。
これはユネスコたるもの口を極めて断罪して良かったはずだが、どうもその程度が足りなかったようである。
ここでハッキリ文化破壊者への対決姿勢を鮮明にしていれば、アメリカも(トランプも)少しは脱退をためらったかもしれないのに……
それはともかく、何だか「トランプは次は何を脱退するのか/止めるのか」と“楽しみ”になってくる人も、けっこう多い今日この頃ではなかろうか?