プロレスリング・ソーシャリティ【社会・ニュース・歴史編】

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山梨市役所職員不正採用事件、市職員5人を書類送検-副業禁止と雇用の非流動性が「逆らえない人間」を作る

 山梨市の職員不正採用事件について、今年8月上旬に数本の記事を書いた。

 (本ブログを「山梨市」で検索されたい。)

tairanaritoshi-2.hatenablog.com

 

 本当に別にこの事件にこだわるつもりもないのだが、乗りかかった船なので続報を……

 この件について警視庁は9月15日、次の5人を書類送検した。


(1) 現副市長にして市長職務代理者 飯島尚敏(62歳)

(2) 前副市長 小林孝(63歳)

(3) 秘書人事課長 丸山一朗(57歳)

(4) 2014年度の採用担当にして現生涯学習課長 望月好也(56歳)

(5) 秘書人事課の現採用担当男性職員(51歳)

 

www.sankei.com

 

headlines.yahoo.co.jp


 そして、彼らの反省の弁はこうである。

●小林孝・前副市長
 「(前市長の就任後は)採用予定者の人数が例年よりかなり多くなっていた。止めれば良かった。市民に申し訳なく、反省している」

●丸山一朗・秘書人事課長
 「残念な結果になった。公務員として初心を忘れていた」

●望月好也・生涯学習課長
 「担当した試験で不正があったことは申し訳ない」

●現採用担当男性職員
 「大切な採用試験に不信感を抱かせてしまったことに責任を感じている。結果が変わっていたか分からないが、いけないことをいけないと言えていれば。私の立場では言えなかった」


 なお、誰でも思うことだが――

 生涯学習課長の望月好也氏は、本件の首謀者である望月清賢・前山梨市長の親戚ではあるまいか。

 別に親戚だからって罪が重くなるわけではないが、ちょっと気になるところではある。

 さてこの人たちが揃いも揃って前市長の不正採用(受験者の点数改竄)に加担した――いや逆らえなかったのは、根本的には「度胸がない」からである。

 この「度胸がない」というのは、今の日本のあらゆる社会現象の根本にあると言っても過言ではないキーワードだと思う。

 しかし「それを言ったら身も蓋もない」とも言えるので、もう一つ上の段階の根本原因を挙げれば、それは「簡単に転職できない」ということになるだろう。

 今回書類送検された5人がもし前市長に逆らっていたら、クビになったか。

 “そう簡単にはクビにならない”ことで有名な公務員だが、しかし人間、クビにならなくても単に“上に睨まれる”――

 どころか、“他人の怒りを買う、疎まれる、嫌われる”ことさえも恐れるのが通常である。

 別に今回のようなことは田舎の市町村役場だけでなく、グローバル規模の一流規模の中でも普通に起こっていそうなことだ。

 だからたぶん、あなたが今いる(勤めている)組織の中でも、こんなことはしょっちゅう起こっていると思う。

(それどころか、あなた自身が今も昔も“加担している”ことさえも大いにあり得る。)


 私自身は(幸いにも)、人に嫌われようが睨まれようがどうでもいいと感じる性格に生まれてきたので、あまりそういう葛藤だとかを感じることはない。

(他人が何を思おうが、しょせん他人の思うことである。自分の心が思うのではない。)

 しかしこういう性格の人間は少数で、やはり多くは“他人の希望に添えない”ことを恐れて、つい逆らえなくなるものである。


 とはいえ、もし世の中が簡単に転職できるものならば――

 上から不正をしろと言われても、次の職があるという後ろ盾があるのだから、拒否も反論もできるだろう。

 それで怒りを買ったなら、「あ、そうすか。じゃあ辞めますんで。このことはマスコミにタレ込みますから」とでも言えるだろう。

 この意味で、少子化と労働力の減少は必ずしも悪いことではない。

 それは労働者側の立場を強くし、雇用の流動性をいささかでも高めてくれるだろう。

 
 そして、以前も書いたことだが――

 やはり「副業の禁止」とは結果的に、この手の「職を失うことを恐れる/職場で睨まれることを恐れる」ことが原因の“逆らえないタイプの不正”を助長するものとしか言いようがない。

 

tairanaritoshi-2.hatenablog.com

 

 

tairanaritoshi-2.hatenablog.com

 

 そりゃ収入源をたった一つに限っていれば、しかも世の中で転職が容易でないならば、その収入源を失いたくないから不正に荷担するに決まっているのである。

 パワハラにも差別にもイジメにも、泣いて耐えるしかなくなるのである。

 それをわかっている内部の他人は、それをいいことにどこまでも増長するのが当たり前なのだ。


 その意味で日本に希望があるとすれば、まさに少子化と人口減少が確実に進行中であるということだろう。

 ただしやはり人間は、常に牙を研いでおくことが大事である。

 何のスキルも意欲もないバカは、いくら労働力不足で転職し放題であろうとも、受け入れる会社はないからである。

 そしてまた、より実際的な身を守る手段としては――

 スーツのポケットに常にボイスレコーダーを入れておき、常にスイッチを入れておくことが一番の方法かもしれない……