プロレスリング・ソーシャリティ【社会・ニュース・歴史編】

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山梨市収賄不正採用事件の続々報-「賄賂は土地の風習」

 まずは訂正。

 前回記事で、萩原英男(甲州市立大和中学校校長)の長男は「一次試験(筆記試験)で本来は不合格だったことがわかってしまっているので、もちろん採用取り消し・解雇になるのが相当である。」と書いたのだが――

 実は彼、「一次試験には合格して二次試験に不合格、しかし補欠枠に入って(他の3人とともに)最終的に採用されることになった」というのが正しいらしい。

(しかし当初の報道では、一次試験落ちとされていたはずなのだが……)


 すでに辞職した望月清賢(せいき)は、2014年2月2日の選挙に通って山梨市長に就任した。

 そこから行なった「職員採用改革」は、次のとおり。


●2014年度
 
 二次試験(面接と小論文)の面接に、市長が立ち会うこととした。


●2016年度

 (1) 面接50点・小論文50点の配点を、面接100点・小論文50点とした。

 (2) 5年以上途絶えていた「補欠枠」を復活。

   補欠枠とは、従来は職員が早期退職するなどして補充の必要が生じたときに(臨時に)認めていたもの。

   復活の理由は、「観光分野の職員を増員するため」。

   市としては「前年度の試験後に退職者が多かったため」と説明しているが、しかし補欠枠が設定されたのは二次試験終了後のことだった。


(⇒ 時事ドットコム2017年8月22日記事:贈賄側受験者、補欠で採用=前山梨市長が制度悪用か-警視庁)


(⇒ 毎日新聞2017年8月22日記事:山梨市採用不正:前市長が補欠枠復活 採用制度を次々変更)

 
 面接への市長の立ち会いも、面接配点の倍増も、補欠枠の設定も、それ自体は悪いこととは言えない。

 むしろ「良い方向への改正」と言えないこともない。

 しかし補欠枠の4人が結局は全員採用されたというのは――


●この4人が全員賄賂を送った。

●萩原君を採用するカモフラージュのためにそうした。

●結局、補欠枠に入れてしまえば(採用しないのは心苦しいし、うち1人だけ採用するのは説明しにくいので)採用することになる。


 の、いずれかだったのではないかと推測させずにおかない。

(それにしても萩原君、面接点が倍増されていても落ちてたのである。

 もちろん試験にはどうやったって足切りラインがあるので、落ちた人のことを悪く言うつもりはないが。)


 しかし今のところ本件で最も“面白い”新聞記事は、次の記事である。

www.yomiuri.co.jp


 元山梨市の収入役で現任の選挙管理委員会委員、現役の寺の住職である滝沢博道(はくどう)は――

 中学校長たる萩原英男を(それまで面識のなかった)望月市長に引き合わせ、「商品券を渡すよう助言した」と自分で取材に答えている。

 しかもそれは「賄賂ではなく、土地の風習」とのことである。

 これは、大笑いするところだろうか。

 どうやら山梨市には、そういう風習があるらしい。つまり、賄賂の風習があるということだ。


 諸報道では、望月市長と滝沢博道とは同じ出身地区で、その他にも地元のバレーボール人脈などで以前から付き合いがあったらしい。

 そして滝沢博道は2003年から2004年まで収入役を務めた(えらく短い……)のだが、2014年に望月市政が始まってからは市の幹部人事を提案したこともあったとされる。

 退職して10年にもなる市のOBが、まだ市の幹部人事を「提案」する――

 辞めて数年なら(職員のことをよく知っているので)そういうこともあるかもしれないが、まったく現役職員にとってはとんだ迷惑な話である。

 政僧というか、ナマグサ坊主というか……


 しかし考えてみれば、

 影響力を持ち続けたいとか、

 その一環として口利きしてやりたいとか、

 「人にお願いするときは手土産を持って行くのが普通、風習、しきたり」だとかいうのは、

 別に田舎人に限らず、人間の通有的な心なのだろう。

 滝沢博道が「商品券を渡すよう助言するのは、賄賂ではなく風習。悪いことではない」とナチュラルに思っているというのは、言い逃れではなく本気だという可能性もあるにはある。

 そして日本の田舎でも先端企業でも――

 こういうことは、さして悪人でもない人物がむしろ「誠意」をもってやっているのだというのも、大いにあり得る話である。