プロレスリング・ソーシャリティ【社会・ニュース・歴史編】

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イラク軍、モスル解放&勝利宣言-イスラム国崩壊へのカウントダウンとロンドン・ゲイ・プライド・パレード

 7月9日、イラクのアバディ首相は、イスラム国(IS)が支配していたイラク北部の都市モスルの解放及び奪回作戦の勝利を宣言した。
 一方7月3日には、米軍支援の「シリア民主軍」がISの首都・シリア北部のラッカ旧市街に突入したとの報道が入っている。
 昔の中国で言う“宗賊”(宗教的賊徒)イスラム国も、いよいよ討滅の時が近づいているようである。
 モスルでもラッカでも、ISは自爆テロと「人間の盾」(一般市民を要塞付近に置いて盾にする)で徹底抗戦していると報じられてきた。
 “そんなことされたら攻撃できないじゃないか、勝てないじゃないか”と思うものの、それでもやっぱり訓練を受けた正規軍・準正規軍には勝てないのが証明されたということか。
(いずれこの戦争について戦史が編まれるだろうから、「人間の盾」にどう対処したのか読んでみたいものである。)

 どうも我々はベトナム戦争(でのアメリカの敗戦)や、チェ・ゲバラに代表されるゲリラ戦の英雄の印象があまりに強いためか、“正規軍はゲリラ戦には勝てない”という思い込みを強く持ちすぎているようである。
(日本人にとっては、日中戦争での“便衣兵”(普通の民衆のフリをしたゲリラ兵士)の印象も手伝っているかもしれない。)
 しかしアメリカがベトナムで負けたのは、ソ連・中国との全面戦争を回避するため手ぬるい爆撃しかできなかった(北ベトナムの首都・ハノイなどへの爆撃は禁じられていた)ことが大きいし――
 本当に戦争に決着を付けたのは、世界のどこでもゲリラ兵ではなく正規軍同士の戦いだったと言っていいのではないだろうか?
 それにしても――
 「人間の盾」と使っても自爆テロを使っても、狂信者を何百人も抱えていてもなお勝てないとなると、イスラム国滅亡後にも当然出てくるイスラム系テロリスト諸集団にとっては、非常に厳しい先行きと言わざるを得ない。
 
 ところで7月8日には、イギリスの首都・ロンドンで、史上最大規模となる同性愛者の祭典「ゲイ・プライド・パレード」が開催された。
 その参加者数は、何と150万人。主催者発表ではなく、当局=おそらく警察の推定である。)
 ついこの前はイスラエルのテルアビブで20万人参加の同性愛パレードが行われたのだが、それをはるかに上回る規模だ。

 さて、上記記事でも書いたのだが――
 これほどまでに欧米で同性愛が盛んなのは、イスラム国ならずとも敬虔なイスラム教徒にとっては「許しがたい悪魔の仕業」のはずである。
 いくら「イスラム国は真のイスラム教ではない。真のイスラム教は平和を愛する」と主張する人でも、真のイスラム教は同性愛に寛容なんですとはさすがに言わない。
 そしてここに、IS亡き後のイスラムテロリズムの活路があると私は思う。
 次のイスラムテロリズムは、同性愛の攻撃に焦点を絞る――少なくとも焦点の一つにはすべきだ、ということだ。
 そうすることのメリットは、これだけ同性愛の盛んな欧米にも根強く(そして広範に)存在する、同性愛嫌悪者の共感を得ることができる点にある。
 “我々は悪魔の同性愛を断じて認めない。それを認める人や国は悪魔の手先である。天に代わって(神に代わって)正義の鉄槌を下す”と宣言すれば、全世界のかなり大勢が密かに共感するはずである。
 そうすれば(一見ありえないようなことだが)キリスト教保守派や保守思想家、引いては一般大衆からも広範な支持を得て、今までにない強力なネットワークを作ることも夢ではない(と思う)。
 次のイスラムテロリズムは、イスラム国がやったように――
 「ただ刃物を振り回して人を殺す」ようなチンケな犯罪者でも何でもかんでも“我々の戦士”などと呼ぶ「尻馬戦略」を採らず、まさにこのゲイ・プライド・パレードのような「悪魔の祭典」に攻撃を集中させるべきである。
 現代世界は「資本主義陣営と共産主義陣営」から、国境を越えた「同性愛を認める陣営と認めない陣営」の冷戦時代になっているのだから、その一方として旗幟鮮明にすれば、敵対する欧米諸国の中にも分裂をもたらす効果を期待できよう。
 そのとき日本政府はともかくとして日本人一般がどんな反応を見せるのか、
 女性団体・フェミニズム団体がいかなる声明を発するのか(発しないのか)――
 野次馬的な感想ながら、実に見ものである。