国会議事堂では自動小銃などで武装した数人が銃を乱射、治安部隊がこれを制圧したが犯人の1人は自爆したらしい。
ホメイニ霊廟の襲撃はその30分後で、男2人・女2人が銃を乱射。
男1人は銃撃戦で死亡、女1人は発砲後に自爆、男1人は毒をあおって自殺し、女1人が拘束されたという。
いやあ、これは不謹慎ながら、久々に血湧き肉躍るニュースである。
その首都、しかも国会議事堂とホメイニ霊廟でこんなテロ事件が起こるなんて、予測していた人がいただろうか。
そして誰もが予測していたように、さっそくイスラム国(ISIS)が「自分たちがやった」と声明を出した。
イスラム国と言えば、たとえ自分がやったことではなくても、めぼしい殺人事件が起きれば自分または共鳴者がやったとすぐに言う「尻馬戦略」が有名である。
しかしこの件に限っては、事実と見てよいのではなかろうか。
イスラム国にとっては欧米諸国はもちろんのことながら、イランなんて絶対に攻撃しなくてはならない不倶戴天の仇敵なのだ。
つい先日のブログ記事で「テロをやるなら先進国に限る(それ以外の国で何人殺しても世界のベタ記事にしかならないから)」と書いたが――
しかし、イランでテロとなれば話は別で例外である。
何と言っても、「あの」イランに風穴を開けたのだ。
繰り返しになるがこれは、北朝鮮国内でテロ事件を起こすのと同じようなものである。
(しかし、確かに北朝鮮でそれをやる方がずっと難易度は高いだろう)
またまた不謹慎な言い方になるが、これは信じられないような「快挙」であり「偉業」である。
何と言ってもそれは、しょせんイスラム国なんて「車で暴走してナイフで人を刺す」ような「お手軽・安価な」テロしかできないのではなく――
「あの」イランに武器を密送し、人員も送り込み(あるいは現地人を取り込み・徴募し)、国内で一番警備の堅いはずの場所に侵入させるという計画力・実行力を持つ証拠になるからである。
むろん襲撃者の人数から言って、イラン政府転覆とか要人皆殺しなんてことを狙っていたわけでないのは明らかだ。
それはいわば「命がけのアピール」であり、襲撃者たちもそれで納得したのだろう。
その理由として、カタールの「テロリストへの支援」及び「イランとの(親密な・隠微な)関係」が挙げられている。
このタイミングでイランテロ事件が起こったことに、果たして何らかの関係性があるのか、もちろん私にわかるわけがない。
しかしこの事件、「イラン vs イスラム国」の構図を新しいステージへ引き上げることになるのは請け合いである。
不謹慎ついでに言うと、中東情勢はにわかにエキサイティングで面白いことになってきた。
しかし中東情勢において、あのイスラエルがまるで脇役のようになってしまうなど……
つくづく、時代は変わったものだ。