プロレスリング・ソーシャリティ【社会・ニュース・歴史編】

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イギリスコンサート自爆テロ発生・「テロをやるなら先進国に限る」

 5月22日、イギリス・マンチェスターのコンサート会場で自爆テロが発生し、22人が死亡し59人が負傷した。
 アメリカの人気女性歌手アリアナ・グランデ(19歳)のライブが行われている最中の出来事であった。
 これを書いている時点ではまだだが、いずれイスラム国から犯行声明が出るのは確実だろう。
 イスラム国はたとえ自分がやったことでなくても、尻馬に乗って自分がやったと言う集団だからだ。

 さて、このニュースを聞いて真っ先に思うのは、
「やっぱりテロをやるなら先進国に限る」ということである。
 
 これがもしボツワナで300人死亡」とかだったら日本のニュースではせいぜいベタ記事扱いであり、欧米でも似たようなものだと思う。
 ウクライナポーランドで100人死んでさえ「大したニュースではない」と扱われるだろうが、それがG7に入るくらいの先進国で起きさえすれば「世界を震撼(大騒動)」させられるのだ。
 しかしまた思うに、確かにイスラム国は先進国でけっこうなペースでテロをやってはいるが、どうも“単発花火”を打ち上げているようにしか感じられない。
 そしていったい、こういう単発テロの連続が、肝心要のイスラム国本国の防衛にどれほど貢献しているのかも疑わしい。
 もっと戦略的に、もっと有機的に連爆させなければ意味がないんじゃないかと思うが、そんなことはイスラム国首脳部も百も承知――
 それでも実行できないところが、イスラム国の力の限界ということなのだろう。

 今回のコンサートテロが、中東におけるイスラム勢力範囲の防衛戦に与える影響は、ほとんど何もないに違いない。
 中東戦線の欧米兵力が本国防衛のため引き上げられることもないし、攻撃作戦を遅滞させることも無理である。
 “イスラム国を撲滅してもテロは終わらない”と言う人は浜の真砂(まさご)の数ほどいるが、こんなテロを繰り返せば逆にイスラム国追討やむなし/絶対滅ぼせと思う人が増えるだけなのはわかりきっている。
 今後もイスラム国の(尻馬式を含む)テロは各地で起こり続けるだろうが、それは“断末魔の悪あがき”と捉えた方が正確なように思う。

 なお、あなたも私も必ず思っていることだろうが――
 イスラム国の指導者たちというのは、例によって例のごとく自分たち自身が自爆攻撃を敢行する気はないようである。
 しかし、もし彼らが殉教への硬い意志を持っているというのなら、一人ぐらいは自爆攻撃に出撃してもいいのではないか。
 高位のイスラム聖職者が率先して自爆攻撃を買って出れば、間違いなく部下及び集団の士気は高まるだろう。
 今はイスラム国の支持者でない人でも感激し、自爆攻撃の志願者が急増することも期待できる。
 そうなったら先進国でのテロももっと多く実行できる。
 
 だが、それをしないのはなぜなのか、あなたも私も知っている。
 それはやっぱり
「命が惜しい/死ぬのが怖い」
 からか、
「“仲間”にそうするよう促すのは気が引ける」
 からである。

 ま、しょせん、信念堅きイスラム聖職者といってもこんなもんである。
 かつて南ベトナム政府の弾圧に抗議して焼身自殺した仏教僧ほどの覚悟を持つ人は、そんなにはいやしないのである。
 イスラム国の指導部・聖職者のみなさんには、今後最低一人以上は自分で自爆攻撃に出かけていくことをオススメしたい。
 それでこそイスラム国の理念を広め、立証し、火を点けることができる。
 「自分らが先進国に潜入するなんてできるわけないだろ」というなら、シリアの米軍相手にそうすればいいのだから……