さて報道によると、本件土地の下に相当量のゴミが埋まっているのは確からしい。
しかし一方、そのゴミが有害物質であるとか放射性物質であるとの話は聞かない。その実態は「廃材や生活ゴミ」ということのようだ。
そこで誰でも思うことだが――
土地の下に廃材とか生活ゴミがあるからと言って、だから何だというのだろう。
別に農地にするわけでもなく、その上に建物を建てたり公園にするというのなら、別にそんなゴミが埋まってたってどうということはないのである。
それが証拠に、森友学園はたいしてゴミの搬出はやっていないようである。
先の記事でも書いたように、もし本気でゴミの処分をやろうとするなら、その土量の最大体積は深さ9.9m×縦93m×横93m=約8万5,625立米となる。
しかしむろん、こんなに土を掘り返してゴミを全部取り除くなど、初めからやる気なわけがない。
そしてこれは、財務局も当然わかっていたに違いない。(あなたが売り手なら、そんなこと思いますか?)
繰り返しになるが、「ゴミ(地下埋設物)の撤去費用を差し引く」というのは、売り手側が売買代金を低くしたいときに使う(場合によっては唯一の)方便なのだ。
もし財務局が「ゴミの撤去費用は差し引いたんだから、ちゃんとゴミの撤去はやってくださいよ」としたいなら、売買契約書に特約を付けるという手段がある。
すなわち「買い主は所有権移転日から**日以内にゴミを撤去し、売り主の検査を受ける必要がある。この条件が守られないときは、売り主は****円でこの土地を買い戻すことができるものとする」との“買い戻し特約”を付ければよい。
しかし本件契約では、買い戻し特約は確かにあるが――
(条件が守られないとき、すなわち売買代金の支払いを怠ったときは、売買代金とほぼ同額で財務局が買い戻しできることになっている。)
ゴミを撤去すべしとの条件はどこにもないようである。
ここでもやはり、「ゴミ撤去費用の差し引きは、売買代金を低くするための方便である」ことが裏付けられているだろう。
なお森友学園は、この国有地を9割引の1億3,400万円で取得し、さらになお10年間の分割払いとしてもらっている。
そして分割払いの利息は、年1%――
これもまた異常な優遇と見られるかもしれないが、しかし違法なことではない。
国有財産購入の際の分割払いは正確には「延納」と言い、原則5年が限度である。
しかし地方公共団体・学校法人・社会福祉法人・日本赤十字社に譲渡する場合、特例として10年が限度となる。(国有財産特別措置法第11条)
またその際の利息は、「延納期間5年超・10年以内」なら、
“基準日において適用される元金均等方式による貸付期間9年超・10年以内で、据置期間が最短の財政融資資金の貸付金利に0.9%を加えた額”
と決められている。
森友学園の国有地購入は昨年(2016年)6月だというから、財務省サイトで(平成28年6月10日以降適用)財政融資資金貸付金利の表と見ると、貸付期間9年超・10年以内の据置期間最短の場合の利率は0.1%。
0.1%+0.9%なので、利率はちょうど1.0%となる。
よって、分割払いの利息が年1%というバカ安さは、全然違法ではない。
(ちなみに最新=平成29年2月10日以降適用の貸付期間9年超・10年以内の据置期間最短の場合の利率は、0.01%となっている。
現在がいかに異常な低金利であるかわかろうというものだ。)
そりゃあ10年の分割払いできるという制度があるなら、それを選択するに決まっているのである。