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プロレスリング・ソーシャリティ【社会・ニュース・歴史編】

社会、ニュース、歴史、その他について日々思うことを書いていきます。【プロレス・格闘技編】はリンクからどうぞ。

36億人分の富を持つ、地球的大金持ち8人衆 その1 『ビジネススーパースター列伝』あるいは現代太閤立志伝の世界

 1月15日、貧困撲滅に取り組んでいるという国際NGO「オックスファム」の発表によると――

 世界の大富豪トップ8が有する資産は、世界の貧しい人の下から数えて半分に当たる36億人分の資産と同じらしい。

 このことを伝えるハフィントンポスト1月16日記事(Chitose Wada氏執筆)では、経済雑誌『フォーブス』の長者番付を引き、その8人を列挙している。


1位:ビル・ゲイツマイクロソフト創業者)

2位:アマンシオ・オルテガ(スペインの実業家。ZARA(ファッションブランド)創業者)

3位:ウォーレン・バフェット(投資家)

4位:カルロス・スリム・ヘル(メキシコの実業家。中南米最大の携帯電話会社アメリカ・モビルを所有)

5位:ジェフ・ベゾスAmazon.com創業者)

6位:マーク・ザッカーバーグフェイスブック創業者)

7位:ラリー・エリソン(オラクル創業者)

8位:マイケル・ブルームバーグ(前ニューヨーク市長、金融通信会社ブルームバーグ創立者)


 この8人の資産は4.26兆ドルというから、1ドル100円で換算すれば426兆円。この地球的大金持ち8人衆は、1人平均53.25兆円の資産を持っていることになる。

 このうち相当部分が株式(つまり、暴落する危険もある)だとしても、まったく途方もない――想像を絶する超大金持ちである。

 彼らを形容するには、メガ富豪、ギガ富豪、テラ富豪、ペタ富豪……などといった言葉もあるが、

「さすがにここまで来ると、人は嫉妬する気も起こらない」という意味で「超越的大富豪」と呼ぶのが適当かもしれない。

 さて、この8人衆のうち、6人までがIT(ネット)と通信の会社を所有ないし創業している。

 異色なのは2位オルテガの「ファッションブランド」と3位バフェットの「投資家」なる肩書きだが、現代がネットと通信の時代であることをこの長者番付は如実に示している。

 
 そして、プロレスファンなら誰でも聞いたことのある漫画『プロレススーパースター列伝』(原田久仁信・作)というのがあるが――

 この8人に故スティーブ・ジョブズ(アップル創業者)を加えると、まさに『ビジネススーパースター列伝』といった趣(おもむき)となる。
  
 確かに、2位オルテガと4位スリム・ヘル、7位エルソンらは日本での知名度はほとんどないが、その他の面々は日本の書店でもとてもよく見る名前である。

 2位も4位も7位も、たぶん外国ではビジネススーパースターとして彼らに“学ぶ”系の本が結構出ているものと思われる。


 ところでこういう大富豪の話を聞くと、誰でも不思議に思うだろうことを私も不思議に思っている。

 よくテレビでは赤十字ユニセフ国境なき医師団などが寄付呼びかけのCMを打ち、「10,000円で栄養治療食300食分が提供できます」などと言っているが――

ユニセフのサイトによると、3,000円で免疫力向上・感染症防止のためのビタミンAを1年間分、1,500人の子どもに投与できるそうだ。)

 この超越的大富豪らが3,000億円でも寄付すれば、ムチャクチャ効果があるんじゃないかということである。

(3,000億円=300,000,000,000円は3,000円の100,000,000倍なので、150,000,000,000人=1,500億人の子どもに1年間ビタミンAを投与できることになる。

 むろんこれは、15億人の子どもに100年間ビタミンAを投与できることも意味する。)


 私が無知なだけなのだと思うが、彼ら8人はユニセフなどに寄付をしているのだろうか。

 匿名でやっているのだとすれば、それでもまだあんなに寄付を呼びかけるCMが多いのは釈然としない。

 別に善人ぶるわけではないが、もし私が10兆円の資産を持っているのであれば、1,000億円くらいは国境なき医師団あたりに寄付しそうなものである。

 それとも彼らも我々と同じで、「そんなに何でもかんでも寄付なんかしちゃいられねーんだよ、そんなことやり始めたらキリがねーんだよ」と思っているのだろうか。

 だとしたら逆に親しみがわくというか、結局彼らも我々とそんなにかけ離れたメンタリティは持っていないのだと思える。

 
 ただ、こういう疑問はあろうとも、やっぱり彼らはスーパースターである。

 ビル・ゲイツスティーブ・ジョブズも天才であり偶像であり、ウォーレン・バフェットなどは投資家の頂点であり「神様」ともされている。 

 人は近所や自国の公務員が高い給料をもらっているといって腹は立てても、ここまでスゴい大金持ちとなれば、嫉妬どころかズバ抜けたヒーローとして逆に讃仰したくなるものだ。

(たぶん昔の人も、近所の木下藤吉郎が地元で小金持ちになれば嫉妬したろうが、太閤豊臣秀吉にまでなれば嫉妬どころではなかっただろう。)

 そして、「税金は金持ちが払やいいんだ」と思ったり言ったりすることは確かにあっても――

 基本的に我々は、「才能ある者が大金を掴むのは当然」という資本主義思考になじんでいる。それが正しいという社会の雰囲気の中で生きている。

(そう思わない者は、時代遅れの共産主義思考に毒されていると感じる。)

 だからビル・ゲイツジョブズの才能を賛美し、憧れや見習いの対象とし、彼らを「スゴい人」だとみなす。(だから彼ら関連の本が売れる。)

 
 さて私は、国際NGO「オックスファム」が言うように――

 各国は法人税の引き下げ競争(それにより、国際的大企業が自国に所在してくれるようにする)を止めるべきだとか、

 裕福な個人・企業の税率を引き上げるべきだとか、

 必ずしもそういう主張に賛成するわけではない。

 私もやはり、才能ある人が才能を生かして大金を手にするのは当たり前のことだと思うからである。

 そしてまた、大企業だろうと大金持ちだろうと、貧乏人だろうとゴミ投資家だろうと――

 できるものなら税率の低い国を本拠にして税金逃れしようとするのは、人としてごく当たり前の行動だろうと思うからである。

 いわば資本主義下における“才能の野放し”により、地球規模の超大金持ちが出現するのは、どうしようもない自然現象だとも思う。

 しかし私は、彼ら超越的大金持ちをうらやましいとは思っても「スゴい人」とは思わないし、尊敬すべきとも見習いたいとも思わない。

 その理由は、次の記事で述べる。