読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

プロレスリング・ソーシャリティ【社会・ニュース・歴史編】

社会、ニュース、歴史、その他について日々思うことを書いていきます。【プロレス・格闘技編】はリンクからどうぞ。

島根女子大生バラバラ殺人事件(臥竜山事件)解決、犯人は死体発見2日後に死亡

 国内では稀に見る猟奇殺人事件として有名だった島根女子大生バラバラ殺人事件が、7年後にして解決した。

 2009年11月6日に広島県北広島町臥竜山(がりゅうざん)でバラバラ遺体が発見された平岡都さん(当時19歳)の殺害犯人は、当時33歳の矢野富栄(よしはる)。

 彼は死体発見から2日後の11月8日、山口県内の高速道路で母親の貴美子さん(当時58歳)とともに交通事故死していた。

 父親の墓参りの帰りであり、炎上した彼の車からは激しく燃えた母子の死体が発見されたそうである。

 都さんの殺害時刻は、おそらく行方が途絶えた10月26日の直後。検死解剖によると首を絞めて殺害の後に切断されたらしい。


 こういう言い方は(思い方は)不謹慎であるとわかっているが、このニュースを聞いた人の多くは、「まるでドラマみたいだ」と思ったのではないだろうか。

 矢野富栄の事故死について車のブレーキ痕・スリップ痕はなく、母親とともに心中を図ったのではないかと言われている。

 ガードレールに何度もぶつかり、ボンネットから白煙を上げて路側帯に停車して炎上したとされている。

 その事故直前の車内で、母子の間でどんな会話がされていたのか、人間誰しも想像するというものである。

 死体発見後2日後というタイミングからも、たぶん純然たる不慮の事故ではなく自殺と見るのが普通だろう。


 警察が彼を被疑者死亡で書類送検することに踏み切った決め手は、彼の遺留品であるデジカメに都さんの死体及び彼の借家(島根県益田市内の一軒家)の風呂場が映っていたからだという。

 やや驚くのは、そんな画像データを処分もせずに残していたことである。

 いくらパスワードをかけているとは言え、もし警察の手に渡ればいつか解析されてしまう――

 普通の人間は(当時33歳の人間なら確実に)そう考えるものだ。

(※ただし、パスワードは6桁だからこそ解析できた、もし8桁なら解析まで240年かかった、という記事もあった。ホントにそんなにかかるのか、私にはよくわからない。)


 矢野富栄は都さんとは接点が全くなかったらしいが、彼自身には性犯罪の前科があった。

 2004年には北九州市内や東京都内で面識のない女性を刃物で脅してわいせつ行為をしようとしたとして、懲役3年6か月の実刑判決を受けている。

 その後は地元の下関市に戻りラーメン屋のアルバイトをするなどし、2009年からは島根県益田市の住宅用太陽光販売会社に勤務していた。

 その社長によると、勤務態度はすこぶる真面目で販売成績も良く、「今でも彼には良い印象しかない。事件は信じられない」とのことである。


 猟奇殺人犯はどいつもこいつも似たようなものだ――とはよく言われるが、しかしやっぱり個人差はある。

 矢野富栄の場合は、かなり社会的適応性のある「快活・魅力的」タイプの猟奇犯だったようだ。

(学生時代の顔写真が出回っているが、確かにイケメン顔である。何だかアメリカの極悪好青年殺人鬼のテッド・バンディを思い出す。)


 はたして矢野富栄は、「もう自殺するんだから画像なんか残ってもいいや」と思っていたのだろうか。

 母親は、いつ息子から殺人を打ち明けられたのだろうか。

 父親の墓参りに行ったのは、母子揃って最後の挨拶をするためだったのか。

 ガードレールにぶつかろうとする前、息子は母に「母さん、ごめん」とでも言ったのだろうか。母親は泣いていたのだろうか。

(しかし、自殺を狙って交通事故を起こすというのは、ずいぶん不確実なやり方だと思うが――)

 映画監督や小説家なら――いや普通の人でも、そういうシーンを想像し・ドラマチックな場面に描くという脳内衝動を抑えられないのではないかと思う。


 矢野富栄には、残された最後の家族として弟がいた。

 彼は実家で美容店を開店していたが、兄が容疑者だと報道されると「一身上の都合で閉店することになりました」と張り紙をして行方が知れなくなったらしい。本当に気の毒である。

 矢野富栄の借家だった島根県益田市の一軒家も、画像が公開されていた。家主も災難である。(地元の人なら「あ、あそこだ」と絶対にわかるだろう。)


 猟奇殺人犯が一人この世から消えたことは、確かに喜ばしい。

 しかしその犠牲者らの人生は打ち切られ、メチャクチャになった。

 このニュース化社会では、事件そのものは風化し忘れられる運命にあるが、当事者らにとってはもちろん別だ。 

 矢野富栄には、百回の死刑でも足りないと言うべきだろう。

 

【追記】

 矢野富栄のデジカメとUSBメモリだが、やはり画像データは(本人が)消去していたとのことである。

 それを特殊な技術で復元したところ、遺体や包丁などが写った画像が57枚見つかったらしい。(切断した遺体を、1時間半にわたり撮影していた。)

 それはまぁ消去するだろう、とは思うが――

 しかしやはり、(自殺を決意していたなら)川や海や山中に投げ捨てるくらいのこともしなかったのか、との思いが拭えない。

 また、カメラもメモリも物理的に破壊して普通に捨てれば良かったじゃないかとも思う。

 たとえ自分で消去しても、警察の手にかかれば復元されることもある、くらいのことを考えるのは世間の一般常識のはずなのだが……

 なんだかツメの甘い野郎、しょせん頭の悪い人間か、と思うのは私だけだろうか?