プロレスリング・ソーシャリティ【社会・ニュース・歴史編】

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イスラム国と共鳴者の相互尻馬関係、平和主義者はイスラム国をどう思うのか?

 バングラデシュのカーン内相によると、日本人7名を含む首都ダッカでのテロ事件(7月1日夜)の主犯者は、イスラム国ではないそうである。

 では誰かと言えば、地元イスラム過激組織「ジャマートゥル・ムジャヒディン・バングラデシュ」(JMB)の構成員らしい。

 しかしイスラム国(ISIS)は自ら犯行声明をしているので、いわば真犯人の尻馬に乗ったことになる。

 このパターン、最近のイスラム国の常套手段となっているようだ。

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 しかしイスラム国が直接手を下してないからと言って、こういう事件がイスラム国のせいじゃないと思う人はいないだろう。

 これらの事件の実行犯が、イスラム国の共鳴者ないし「感化された人」であるのは疑いない。

 カーン内相は、なぜ高学歴で裕福な家庭の子弟がイスラム戦闘員になるのかと訊かれて、「それが流行りになったからだ」と答えたらしい。(7月3日付けAFP=時事の記事)

 これはまさに、簡にして要を得た答えだと私は思う。

 まさに世界のイスラム系不満分子は、イスラム国がいるから感化されて個人テロを起こしている。

 イスラム国がなければナイフを振り回したり銃を乱射したり自爆したりしなかったろう人間たちが――

 そんな度胸も生じなかった人間たちが、明らかにイスラム国の尻馬に乗っている。

 
 一方イスラム国は、自分がやったことでも(指令したことでも)ないのに、彼らが事を起こせば「自分らがやった」と尻馬に乗る。

 むろんそれは同志への激励であり、同志であることの承認合図でもあり、何より「自分たちがいかに影響力を持っているか、スゴい黒幕であるか」のアピールにもなっている。

 イスラム国とその感化を受けた者の間には、「相互尻馬関係」とも言うべき関係が成立していると言ってよい。


 さて7月3日にはイラクの首都バグダッドで2件の自爆テロが発生、合計130人超が死亡した。

 うち1件については(2件ともでないのが不思議だが)、例によってイスラム国が犯行声明を出している。

(それはシーア派イスラム教徒を狙ったものだそうだ。イスラム国はスンニ派の一派だが、本当に自分以外の宗教は認めないのである。)


 その1件がイスラム国自前の自爆要員によるものなのか、共鳴者の自主行動の追認なのかはわからない。

 しかし現代のニュース社会化に適応しようと、イスラム国が次から次へニュースネタをアップしようとしている姿勢ははっきりと見て取れる。

 どんな残虐・大規模なテロでも、時間を置くと世間・世界の人々はあっという間に忘れ去る。重大ニュースとは常に最新ニュースのことなのだ。 


 6月26日、イラク政府軍は要衝ファルージャを奪還した。

 それは首都バグダッドの西方40キロであり、そんな近くの(日本の法定走行速度40キロを遵守してもなお1時間で着くのである)街でさえ今までイスラム国に支配されていた。

 今回のバグダッド自爆テロは、その報復であるとイスラム国自身が言っている。

 逆に言うと、やはり戦場での正規戦ではイスラム国に分が悪いのだ。

 やはり世界的なテロの広がりを防ぐには、正規戦でイスラム国を追討するしかないだろう。

 「流行り」の発信源を潰せば、尻馬に乗る人間の数も自然に減ってしまうだろう。

 今の世界では、常にニュースに触れていなければ「やる気」も「異教徒への怒り」も湧いてこないのではないだろうか?


 ところで、日本の平和論者(九条主義者、とも言えるだろうか)にとって、イスラム国とは本当に困った存在である。

 何しろコーランを暗唱できなければ(それもアラビア語でなければ)殺す、というのだから、対話もクソもないのである。

 そんな相手とどうしても平和を保ちたいなら、結局は日本人もイスラム教に改宗すべきだと言わなくてはならない。

 最低でも、アラビア語コーランの一節は暗唱できなければならない――それが平和の嗜みだ、と言わなくてはならない。

 こんな意見が説得力を持つことは非常に難しいだろう。

 そして「自分たちの宗教を信じなければ全て敵」と言うだけでなく実践する集団が現実にいるのだから、これはもう安倍晋三内閣など比較にならないほど悪質で打倒すべき存在であるはずだ。

(いくら何でも、イスラム国のやっていることが安倍政権のせいだと言えるわけがない。言ったらボロクソ言われるだけだ。)

 多様な生き方・考え方を認めない――これは排外主義であり、ファシズムであり、平和主義者たらんとするもの絶対に戦わなくてはならない相手だと思うのだが、平和団体その他の皆さんに「イスラム国をどう思いますか? どう対応すべきだと思いますか?」とテレビ番組で訊いてみてほしいと思うのは、私だけではないだろう。