プロレスリング・ソーシャリティ【社会・ニュース・歴史編】

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「ドM・ドS」の氾濫と「放置プレイ」の普及~日本人はやっぱり変態民族か?

 ゴールデンウィークの間、愛媛県松山市へ2泊の旅行に行ってきた。

(当然、「不謹慎厨」の人はそんなことはせず家にいたのだろう。)

 訪れたのは「松山城」「道後温泉」「湯築城跡(道後公園)」である。

 そのことについての記事は別途書くとして、今回は最近ちょっと気になったニュースのことを書く。

 それは、5月3日放送のテレビ東京系「チマタの噺」に出演した俳優・高嶋政伸(50歳)が――

 「ドM」「ドS」といった言葉が世間で軽々しく使われていることを批判し、番組ホストの笑福亭鶴瓶(64歳)もそれに賛意を示した、というものである。

 ナリナリドットコム2016年5月4日の記事では、高嶋政伸は「SMはヨーロッパの伝統文化であり、それを自分アピールや街角で軽々しく使うのはけしからん」と熱弁を振るい、鶴瓶も「あれはホンマにやらしいこと言うてるよ。私Mですとか、Sですとか」と同調したとされている。

 なおその記事は、『“SMガチ勢”の高嶋政宏が苦言、軽々しく「ドS」「ドM」使う世間に』と題されている。

 高嶋政伸は以前映画で拷問役を演じたことがあり、その際に取材目的でSMクラブへ行き、本物の女王様と話をしたことがきっかけでSMの虜になったらしい。今では「『全国SMの輪』っていうのができた」と言うほどだそうだ。

 しかし、こういうことを公言し・記事にされれば、俳優としてイメージダウンに繋がらないのかとも思うのだが――

 高嶋政伸ほどの重鎮になれば、こういうことも「通の嗜み」として許容されるものなのだろうか?

 彼も一日警察署長なんかをやることがあると思うのだが、そして一般の新聞・雑誌にインタビューが載ることもあると思うのだが――

 クレーム好きの人なんかなら、「SM好きだと公言してるような奴がそんなことしていいのか!」といかにも電話・メールをしてきそうである。

 慈善活動や寄付なんかしたら、それこそ“不謹慎厨”が湧いてきそうである。

 しかし逆に、クレーム好きも不謹慎厨も、こういうことにはあまり食指を動かさないような気もする。

 どことなく、そんなことをあげつらうのは「野暮」だという自制心が働くのか、「そんなの個人の自由だろ」と当然の反撃をされるのが目に見えているからか……

 どうも熟年男性の芸能人というのは、こういうことではあまり攻撃されないようだ。


 それはともかく、確かに「ドS」「ドM」は世間で広く使われている。

 とはいえ私に限っては、自己アピールにそういう言葉を使う人には会ったことがない。

 ただ「おまえドMなんじゃね?」「それ、ドSじゃねーか」とか、自分以外の相手を示す使い方として聞いたことはある。

 だいたい「あたし(俺)ドMなんで」などと自己アピールするのは、やっぱりたいていの人には“いやらしく・恥ずかしく”感じることである。

 自分はマゾですと進んで人前で言う人は、それほど多いわけではないだろう。

(妄想の中で言っている人は多いだろうが)


 だが、「ドS」「ドM」より広く世間に普及した“エロ言葉”は他にある。

 それが「放置プレイ」という言葉である。

 実際、単に「放置状態で」ということを言い表すのに、「放置プレイで」と発語することがいかに多いことだろう。

 私はこれを、商談の席でさえ聞いたことがある。

 あなたもきっと、「ドS」「ドM」よりはるかに聞く頻度が高いはずである。(あるいは、自分でもよく言っている。)


 しかし改めて、放置プレイとは何だろう。

 それは「誰かを緊縛するなど動けないよう固定して、バイブなんかのエロ道具をセットしたまま、その部屋から出て行ってしまい放置しておく(そして時間を置いて戻ってくる)」ことである。

 こういうマニアックな(これもよく使われる言葉だ)プレイ、いかにも変態的なエロプレイを指す言葉が、なぜか日常一般の場に普及している。

 これは、漫画や動画といったエロコンテンツがいかによく消費されているか、いかに身近であるかを示す事実に違いない。

 そういえば朝日新聞や読売新聞、その他あらゆる新聞ウェブサイトの「よく読まれている記事」の上位には――

 たいてい「下半身露出」などといったエロ事件記事が入っている。

 やっぱりみんなそういうのに関心が高いのであり、思わずクリックしてしまうのだ。


 それにしても、なぜ数あるプレイの中で放置プレイだけがこれほど市民権を獲得したのだろう。

 そんなにもこれは日本人の心の琴線に触れるプレイであるのか、ひょっとして実際にもやっている人が多いのか。

 この地震大国である日本においては、相当に危険なプレイだと思えるのだが……


 私はもちろん外国のことは知らないが、こんな歴然たるエロ用語がビジネスの場でも違和感なく使われる例というのは、そんなにないのではないかと思う。

 日本人が世界に冠たるHENTAI民族である、というのは日本人にも知られている(?)が、その面目躍如といったところか。

 しかし一方日本人は、世界最低のセックス頻度と世界有数の処女率・童貞率・未婚率もキープしている。

 よその国から見れば、さぞワケのわからない不思議な人たちに見えるだろう。