大地震があると、必ず起きることが二つある。
「これは地震兵器だ」という告発と、幸福の科学総裁・大川隆法の「霊言」である。
地震兵器については、「HAARP(ハープ)」というオカルト愛好者の間では知らぬ者がない名称があるので、各自検索願いたい。
大川隆法の霊言については、これまで昭和天皇・手塚治虫はじめ、既に死去した著名人はもちろんのこと――
いま存命の人物さえも「その守護霊にインタビューする」形で次々繰り出されていることで名高い。
今までどんな人物の霊魂・守護霊を呼び出してきたかは、幸福の科学の公式ホームページで確認すればよいのだが(あまりアクセスしたくないかもしれないが)、ほんの一例を一応列挙しておこう。
【故人】
●カント(ドイツの哲学者)
●水木しげる(漫画家)
【存命者】
●蔡英文(台湾の女性新総統)
●DAIGO(タレント。故・竹下登の孫)
●ドナルド・トランプ(アメリカ大統領選候補者)
●佳子さま(皇族)
●綾瀬はるか(女優)
いやはや、確かに思わず興味をそそられる・読んでみたくなるラインナップである。
(ただし、無料であればだが。私は古本でさえ買って読んだことはない。)
そして今回の熊本地震(4月14日発生)のわずか1日後、『熊本震度7の神意と警告 天変地異リーディング』(税込み1,512円)という本が出ることがもうリリースされている。(発売予定日は4月28日)
何でも「熊本地震に深く関わった地霊」を呼び出してインタビュー(イタコのように自分の口から語らせる形)したそうである。
その収録は4月15日の夜に行なわれたらしいが、これは16日未明の「本震」の直前に当たる。
この本震のことを“地霊”は言っていたのか気になるところだが、むろん出版にはまだ時間があるので相応の継ぎ足しはされるだろう。
しかしながら、この出版の速さは異常である。ブロガーも電子書籍の個人出版も及ばぬほどの速さである。
一定のテンプレート文章が用意されており、何かあればそれに固有名詞を当てはめればいいだけだとしても――
おそらく幸福の科学出版局の人たちは、徹夜作業しただろうことは想像に難くない。
さて、これとは全く関係ない記事を、ちょうど昨日ネットで読んだ。
それは、あの超有名書店の「紀伊國屋書店」が、かつて露骨すぎる「女性差別」採用基準を持っていた、という記事である。
その本文は下記URLを参照されたいが、1983年に暴露されたその採用基準部分を抜粋してみよう。
http://news.livedoor.com/article/detail/11420153/
(原文は『ビジネスジャーナル』岡本マルシ氏の文)
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・女子社員採用にあたって留意すべきこと
企業は人なり。そして採用は高価な買物である。良いもの、良く育つもの、適正に長もちするものを選び、粗悪品、欠陥品を掴まされてはならない。
1.採用不可の女子
(1)ブス、絶対に避けること。
(2)チビ、身長百四十センチ以下は全く不可。
(3)カッペ、田舎っぺ。
(4)メガネ。
(5)バカ。
(6)弁が立つ。新聞部に属していたものはよく観察すべし。
(7)法律に興味をもつ。前職・専攻課目・関心事に注意。
(8)慢性の既往症。再発の怖れだけでなく、疲労し易いので不満を抱き易い。
2.要注意の女子
(1)革新政党支持。その理由を質問し、その答え方の口調に注意。
(2)政治・宗教団体に関係。頭のきりかえのきかないのが多い。
(3)本籍が日本国籍でないもの。特に家が飲食店の場合は不可。
(4)職を二つ以上変っているもの。流れ者であり即戦力になるように思えても長つゞきしない。
(5)四年制大学中退者。
(6)家庭事情の複雑なもの。
(7)父が大学教授。
(8)尊敬する人物が情熱的芸術家の場合。(例)ゴッホ、林芙美子、石川啄木
(9)尊敬する人物が学校の先生の場合、どういう点を尊敬するか質問すること。
(第98回国会/衆議院予算委員会第四分科会/第2号/1983年3月5日/土井たか子議員の国会質問から抜粋 ・整理)
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いやはや、これもまた凄まじい。
こんなのを内部文書とはいえ紙にして社内に配布する、などというのは狂気の沙汰だと思うが――
バブル期を迎える頃の日本企業(とその従業員)というのは、そういうことを許容する雰囲気だったのだろう。
もちろんこんなのは、今では決して許されないことである。あえてやろうという経営者もいないだろう。
しかし私はこれについて、二つ思うことがある。それは――
●「“熊本の地震は、神をないがしろにしてきた地霊が起こした”」なんて言う教祖・宗教を信じる奴は採用しない」
と宣言する会社、あるいは宣言せずとも実行に努める会社は、むしろ社会的支持を受けるのではないか。
●かつての紀伊國屋書店のような採用基準は、文書にしないだけで今でも多くの人の心にあるのではないか、しかも実際に用いられてもいるのではないか。
との素朴な疑問である。