プロレスリング・ソーシャリティ【社会・ニュース・歴史編】

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イギリス駐米大使「トランプは無能」外交公電がリークされる-こういうのはイギリスの伝統芸か?

 イギリスの駐米大使であるダロック氏が、アメリカのトランプ大統領のことを「無能」「不適任」などと呼ばわった外交公電を本国に送っていたことが発覚したらしい。

www.cnn.co.jp


 言うまでもなく、これは大問題である。

 イギリスの駐アメリカ大使がアメリカ大統領の悪口を言っていたから大問題なのではなく、

 こともあろうに外交公電という絶対秘密の通信の内容がリークされるというのが、とてつもない問題なのだ。

 しかし私がこのニュースを聞いて最初に思ったのは、「またイギリスか」というものであった。

 何と言ってもイギリスは、1960年代――

 なんとなんと、対外防諜の元締めであるMI6(かの有名なイギリス秘密情報部)の長官候補ですらあった職員キム・フィルビーが、実はソ連KGBのスパイだったなどという、これ以上はないほどのショッキングな大失態を晒したことがある。

(もっとも、ついにはそのことを突き止めたのだから、完全な失態とも言い切れないが……)


 何というか、裏切りとか重要通信の漏洩とかいうのは、イギリスのお家芸のような印象である。

 もちろんその他の国でも同じようなことは起こっているのだろうし、

 それどころか裏切りにもリークにも気づいていないケースはさらに多いのだろうが……

 にしても、こういうことは決まってイギリスで起きる印象が拭えない。

 
 いったい今回のリークって、漏洩元はどこなのだろうか。

 たぶんイギリス外務省の中なのだろうが、どうであれイギリスの信用は(またも)ガタ落ちである。

 そして、不謹慎ながら……

 一度は「日本の外交公電がリークされた」なんて事件のニュースを聞いてみたいものだ。

 そこに今回みたいなトランプの悪口が書いてあったとしたら、何だか面白いではないか……

トランプは日米同盟を破棄したい-日本左翼は一丸となってトランプを支持するべき?

 アメリカの事情通関係者によると、最近トランプ大統領は、

●日米同盟は不公平だから破棄したい

●沖縄の普天間基地移転は、アメリカの土地を収奪して移住させる(インディアンのようなものか?)ことなのだから、日本にはカネで補償させたい

 なんてことを側近に漏らしたそうである。

www.bloomberg.co.jp


 もちろんアメリカ政府はこれについて沈黙・黙殺しているし、

 日本政府はその報道は間違いだと否定している。

 しかしトランプ大統領が大統領当選前からこの種のことを言っていたのは周知のことだし、トランプ個人が本当にこう思っていることは別にショッキングでも何でもない。

 それについ今年の1月には、トランプは「NATO北大西洋条約機構)もやめたい」と言っていたらしいと報道された。

tairanaritoshi-2.hatenablog.com


 彼の言動は確かに首尾一貫していて、とにかく――

アメリカに負担がかかり、

●「同盟国」がそれにタダ乗りする

 ようなことには、生理的に反対なのである。

 もちろん、アメリカの国家戦略上というか軍部にとっては、日米同盟やNATOをやめるなんてとんでもないことである。

 アメリカは世界ぶっちぎりの最強軍事大国なのは間違いないが、それでも「地元同盟国」の支援があったり、まさにその国に自国の基地があるというのは、計り知れない価値がある。

 だが、トランプ(及び同意見の人たち)にしてみれば――

 それは確かに価値はあるが、あんまりにも高い保険料じゃないかということになるだろう。

 つまりこれは、個人の家計に引き直してみれば、保険料の見直しということになる。

 そういうことをしようと思い立つ自体、健全な精神と動きだと言えないこともない。

 そして同時にトランプは、アメリカの軍事力に史上最大の自信を持っているということの現れでもあるのだろう。

 あるいは、「今ヨソの国にタダ乗りさせてるアメリカのカネを軍備に回せば、地元同盟国の(アテにならない)協力に比べれば、はるかに世界で戦う役に立つ」と思っているのかもしれない。

 
 ところで、ついにこういうアメリカ大統領が現れたというのは――

 今までずっと日米同盟や米軍基地の存在に反対してきた日本人にとっては、絶好の機会であり福音のはずだ。

 そういう人たちは一般に「左翼」と呼ばれるのだが、まさに日本左翼は一丸となってトランプを支持すべきではあるまいか。

 おそらくトランプが大統領でなくなれば、こんなこと言ってくれる(そして本当にやりかねない)アメリカ大統領は、とうぶん出てこないはずである。
 
 一方で日本の「親米保守」は、当然ながら一丸となってトランプに反対すべきである。  
 
 そうなると「日本の保守派はトランプに(アメリカ大統領に)反対し、左翼はトランプを支持する」なんていう、

 ちょっと見には「逆じゃないか」という構図ができあがる。

 本当にトランプ大統領という男、嵐を呼ぶ男である。


 もっとも、たとえば沖縄の熱心な基地反対派の人々の間で、トランプ大統領を支持する声が大きいなんて話は全く聞かない。

 オバマ大統領のときは日米同盟破棄なんてこと全然言っていなかったのに、なぜか日本の左派(とされる)メディアでも好意的な書き方をされていたように感じるのとは、エラい違いだ。

 今ここでトランプ大統領を支持しなければ、こんな千載一遇のチャンスに乗じなければ、今後何十年もこういう機会は巡ってこないかもしれないのに……

「教育パパ」が息子を殺す-子どもは「くじ」だという悟りが人生を楽にする

 2016年8月に自宅で息子(小学6年生)の胸を包丁で刺して殺した父親の裁判が、いま行われている。

 父親は有名進学校の出身で、しかし大学には行かず今はトラック運転手。

 息子にも自分と同じ進学校に入ってほしいあまり受験勉強のことで息子に厳しくし、とうとう刺し殺してしまったらしい。

(⇒ FNN PRIME 2019年6月21日記事:「刺すって言ったはず」刃物を突きつける音声も…有名中学受験めぐり小6息子殺害の父親初公判)

 
 受験勉強しろとうるさく言ったあげく、結局その息子なり娘なりがグレてしまった、ねじ曲がってしまった――
 
 という話はいかにもありそうなことだし、実際に掃いて捨てるほどこの世に溢れているかもしれない。

 しかしさすがに包丁で刺すまで行くのは珍しい。

 結局、進学させるどころかこの世から消し去ってしまったのだから、本末転倒というかこの父親はバカの極みだと思う人は、それこそ溢れるほど多いだろう。

 だがこの話、「引きこもりは犯罪者になる」という話に匹敵するくらい、「予備軍」が多くいそうに思える。

 この手の教育パパは、日本人の父親の中で無視できない割合を占めていそうだ。


 思うに子育ては、難しいというより運任せである。

 このブログでも何度も書いてきたが、「子は親を選べない」が真なら「親も子を選べない」もまた真である。

 いくら英才の夫婦の間に生まれようと、将来バカや変質者、そこまでいかなくても凡々たる一般人になる子どもは必ずいる。

 それを調整することは、少なくとも今のところはできない。

 子どもがミミズをいじることを禁じるのが善と出るか邪と出るか、そんなのは全くの運任せである。

 自然に触れ合わせることが快活な性格を育むか、それとも将来の「猫屋敷」住人になることへの下慣らしなのか、

 アフリカの動物の良質ドキュメンタリーを見せることが将来の動物学者への布石なのか、それとも残虐バラバラ殺人への萌芽となるのか、

 そんなことなどを親が制御しきれるはずがない。

 
 身も蓋もないことを言うと、バカは生まれながらにバカ、えらいのは生まれながらにえらい。

 あなたの子どもも運が良ければ、勉強しろと言わなくても自発的に勉強するだろう。

 運が悪ければ、それはあなたがハズレくじの子を引いたことになる。

(もちろんこれは、子がよく勉強して進学校に行き、高レベルな大学を出て高収入な仕事に就かなきゃ人生じゃない、という価値観での話である。)


 それにしても、いつも思うのだが――

 確かに「進学校に行く&高レベルな大学を出る」のは、今の社会ではとても価値があるし実益もあると見なされている。

 だからわが子にそういう道を歩ませたい、そうじゃなければ生きる(生かす)価値もない、とまで思い詰めるのもわからないではないが、

 しかしあなたの子々孫々が、ずっと全員そういう「当たりくじ」に当たり続けるというのは、どんなバカでもあり得ないことと思うはずである。

 あなたの子孫には、どうせいつかはバカやゴクツブシや犯罪者や嫌われ者や凡才(これが最も多い)が生まれるだろう。

 子どもを発注しカスタマイズして作るのではなく、あくまで女の腹から生まれ出ることにこだわるなら、それは逃れられない宿命だ。


 要するに世の中、そして子どもは、なるようにしかならない。

 そしてまた、人の価値観は同じどころか、一人一人が違っている。もちろん、親と子の価値観や好みが違うのも当たり前すぎる話である。

 こんなことは本当は、誰でもが知っているはずの真理だろう。

 しかし「子どもはクジ」だと割り切れない場合、今回の事件みたいなことになるのだ。


 たぶん日本人の多くは、昔のようなある種の「脳天気さ」をなくしている。

 子どもは天からの授かり物でもあれば、クジなのだという感覚を失いつつある。

 わが子がクジなんかであってたまるか、運任せだなんて信じられるかという真面目さが、自分やわが子の人生を不要に苦しめているのではあるまいか。